河童を殴りたくなるWeb小説第一位

まず、タイトルがおかしい。
この題をつけた時点ですでになにがしかに優勝していると言ってよいでしょう。
本作品を読もうとした読者はまず第1話のページを開いたところで面食らうことかと思います。Web小説がWeb小説という媒体を採用しているからにはやはり、どこかにWeb小説ならではの、Web小説でしかなしえない表現を模索していてほしいと思ってしまうのですが、この作品はそれを実に大胆な手法で達成しています。
そして話を読み進めるうちに、次第に河童を殴りたくなってくること請け合いです。「河童」と「インターネット」という題材で、ここまで読者の感情を揺さぶり得るのかと肝胆を寒からしめるものがあります。

始終全力でふざけているというのに、ラストはイイ話風に終わっていて読後感は何だかさわやかな感じで落ちているのもまた度し難い。
どういうことなのか?
それは読者の方自身の目で確かめていただきたい。

ひとつだけ言い添えておくとすれば、読む前にあらすじの印象に引きずられないでほしいということでしょうか。
…………ところでこれはジャンルは百合ということで合ってますか?







加えて、これはネタバレなのですが、本文の大部分が同一のアスキーアートで構成されていながら、その内容が各話微妙に異なっているところがまたどうかしている。ただ同一のアスキーアートを並べているのではなく、13話を過ぎたあたりから教訓めいたメッセージが混じり始めるのも無駄に手が込んでいる。
いったいどうしてこんな手間を……(「セコムしてますか?」じゃないんだよ)。



河童を題材にしたWeb小説はまだまだ少ない。
そういう現状のなかで、この作品が異彩を放っていることは間違いないでしょう。
尖った表現を求めるあなたに、是非。
おススメです!