第14話
中学の時から鈴木は、怪盗に関することはなんでも『賭け』にしたがった。SNSで昨今人気の犯行の成否はもちろん、次の犯行の場所や日時なんかも……。余談だが、常に大穴狙いの鈴木に『賭け』で負けたのは今日が初めてでやはりちょっと悔しい。そんな、鈴木が。脳のキャパシティの半分をミス研と怪盗に占拠された彼が、—最速なら明日の朝—掲示板のこの広告を目にしたら一体どう思うか。どうするか。僕には、手に取るように分かったのだ。それはきっと僕にとっての不幸だ。たった今留めた画鋲をそぉーっと抜く。横に並ぶ先生を一瞥すると、まだ5枚分ほど残して四苦八苦している。大丈夫なはずだ。なのに。く、くそぅ…最後の1個が抜けない。我ながら力を込めすぎじゃないか。ぐぎぃぃぃ。押したり引いたり摘んで揺すったりしてもやっぱり抜けない。呆れて何とはなしに右隣を見ると、先生とバッチリ目線が噛み合った。え、待っ。見られてた!?
「そう言えば、なんですがね!前から少し気になっていたのですが!!」
先生の気を逸らす為に、僕は必死に口を開く。
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