第10話
「いんや、これでポストって読むんだ。『ポスト現代』美術館って意味なんだろうな。」
安岡先生は『我が意を得たり』という顔つきで語り出した。
「S駅西側の、大通りの突き当たりにあるんでしたっけ…?」
「お、よく知ってるな!俺のおすすめはな、『水精の囁き』っていうでっけぇダイヤなんだぜ。こんな田舎の美術館には勿体ないぐらい貴重なシロモノでな。まぁ、逆に言えば『水精の囁き』以外はイロモノ揃いで大したことないわけだが。くひひ。古くは西欧の王侯貴族に受け継がれていたらしい、由緒ある一品がどうして『ポスト現代』つう名の
先生の最後の一言で疑惑は確信に変わる。『穂須戸現代美術館』の『水精の囁き』こそ、かの怪盗が予告した次の獲物であるらしい。頭の中に今朝の登校シーンVTRが再生される。『ミス研の心得(作:鈴木)』を朗々と読み上げながら興奮する鈴木。笑って取り合わない僕。二人とも自説を曲げず結局『賭け』に落ち着いた様子を思い出した所で、
「伺いましょう。」
僕は恭しく頭を下げる。コーラより怪盗の方が鈴木は好きだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます