第5話

「起立、礼」

「「ありがとーございましたぁ」」

クラスメイト達がめいめいに机の上を片付け、友達同士が集まり教室は早くも喧騒に包まれてゆく。教室の清掃のために机を後方に寄せる僕の背中を鈴木がバシバシ叩き、僕は無言で例の新聞を彼に突き出す。その時、カカと笑う彼とぶすくれる僕の頭上に担任の声が降ってきた。

「田中ぁ、あと鈴木ぃ、暇ならちょっと手伝ってくれ」

恒例の配布プリント運びだろうか。

「えー、俺もですかぁ?」

鈴木は不満げな声をあげるが、

学級役員せいじかっていうのは級民市民の奴隷なのだよ。ひひ。」

と、担任の教師らしぬ発言に一蹴されてしまう。

「それを言うなら先生でしょ。公僕なんだから。」

「おうおう、鈴木、お前難しい言葉覚えたなぁ、偉いぞぉ。」

「ま、まぁな。」

「おい、田中ぁ、ぼさっとしてないで付いてこい。今日はたっぷりお仕事があるんだからな。」

僕はキョロキョロと、彼女、先の授業で孤立無援の僕を助けた前の席の女子メシアを探していたが、既に割り当ての掃除場所に向かったの見つけられない。

「すみません、今行きます!」

僕らは連れ立って職員室に向かった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る