第3話

柄にもなく、怒りに任せて取り乱しててしまった…。ふむ、どれどれ…【予告状】の画像が紙面を大きく占め、警察の声明を控えめに取り上げ、下部には彼(または彼女)の犯行の中で特に困難だったとされている幾つかの事件のあらましが過激な表現で紹介されている。なーんか、鈴木のやつが喜びそうな書き口だなー。記者さん、エンタメと勘違いしてないかな?

「……なか、田中。おい、聞いているのか?」

「は、はい!」

「教科書の続きを音読しろ」

「はい!」

っと返事はしたものの、いったいどこを読めば……。ちらりと左隣に座る鈴木を見る。ツンと立った茶髪に似合わない真面目な顔でノートの上にペンを滑らす。あたかも授業に集中していて僕の救難信号には気が付いていないかのように見える。だが、僕には分かる、こいつ今笑い堪えているな。嗚呼、孤立無援の僕……。


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