32.菜野葉ちゃんに魔力供給をしている。

途中、「ねえ、救世主様。どうして私だけ名字読みなの?」

と聞かれた。

「いやー、最初に出会って、名字で呼び続けたから、その流れでだよ」

と答えると

「ミクや梓は、名前呼びなのに?」

と頬を膨らませた。

「まあ・・・そうだね。」

「じゃあ、私もまどかって下の名前で読んでよ!」

保温材を膨らませつつ、熱っぽい視線で僕に抗議するまどかちゃん。

僕として菜野葉ちゃんを名字呼びしていたのは特別な意味は無い。ただ、最初、たまたま名字呼びしてたから、その流れで、そう読んでるだけだ。

「・・・いいよ、じゃあ、まどかっ呼ぶね。まどかちゃん」

と僕が言うと、まどかちゃんは顔をパァァっと輝かせ、

「うん、これからもよろしくね、救世主様!末永く!」

と、僕に抱き締めて来た。

「はいはい、まあよろしくな」

僕はまどかちゃんの頭を撫でる。

「へへっ♪へへへっ♪」

頭を撫でられた、まどかちゃんは僕の胸の中で嬉しそうに笑っている。

そうして撫でて気づいた。僕はまどかちゃんみたいな女の子を自然と、撫でていた事を。

僕は汚ならしいうだつの上がらないおっさんである。

それは自覚している。そしてわきまえて生きている。

そんな僕が、まどかちゃんの頭を無意識に撫でたのである。

どうやら、僕はこの状況に慣らされている・・・みたいだ、この不思議な状況に・・・まぁ、あれだけ「魔力供給」というのをやったのだから、今更なんだけど・・・。

「おーい、何二人で、イチャついてるっす!あたし達は今、魔物と戦ってるのに・・・!」

「早く、手伝いに来て下さいよぉ!まどかちゃぁぁん!」

まどかちゃんと抱き締め合っていると、前線で戦っている、ミクちゃんと梓ちゃんに叱られた。

「ごめんごめん、言って来るね、救世主様!」

そう言ってまどかちゃんは、僕の頬にキスをすると、戦闘の渦に飛び込んで行った。

そして、入れ替わりに、ミクちゃんがフラフラっとやって来る。

「すいませ~んっす、救世主様ぁ~。魔力切れたっす・・・、魔力供給、お願いしたいっす・・・」

そう言うなり、ミクちゃんは僕に抱きついて、キスをしてきたのだった。

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