29.見渡すと、ファミレス内部はとても広い空間に、なっていた。

100メートルも1キロも、それよりずっと広く、底を知れない位、広い空間になっていた。

そして、底に埋め尽くされる、『奴ら』の群れ、群れ群れ群れ群れ・・・それが僕達に殺到して来る。

それを薙ぎ倒す、炎と雷と水流。

「消えなさい消えなさい消えなさい、救世主様を苦しめるのは皆消えなさい」

「お前達はこの世界に不要っす!」

「邪悪な魔物は全部、私達が押し流しますっ!」

菜野葉ちゃんとミクちゃんと梓ちゃんはそれぞれ奴ら・・・、女神ちゃん達が言う魔物達と戦っていた。

しかし、魔物の数が多い、多すぎる。一向に数が減らない。

「なあ、女神ちゃん、これ、大丈夫なのか?菜野葉ちゃん達、勝てるか?」

女神ちゃんに聞く。

「ううーん・・・結構劣勢なのです・・・っ」

不安そうに女神ちゃんは答える。

『戸川ぁ戸川ぁ、ぷぷっクスクスクスクス・・・、ぷぷぷっ!』

劣勢な僕達を、奴らは下品に嘲笑う。

「・・・く、くう・・・」

「ダメなのですっ、魔物の声を聞いちゃダメ!救世主様は世界の核なんですからっ、魔物の声に押し潰されてはダメですっ!」

女神ちゃんが僕を抱き締める力がより強くなった。

それでも、一度奴らの嘲笑う声が聞こえると、あの時の様に、心の中心部まで、楔を打たれたかの様に、その声が脳裏に鎮座する。

あの蔑む笑い、蔑む目線、蔑む微笑み、そして否定の言葉達。

「くううう・・・」

目の前が真っ暗になった様に視界が暗くなり、心無しか呼吸も苦しくなって来た。

『ギャハハハハハハハハっ!!!』

勢いを増す奴ら。

「きゃん!」「うあっ!」

その勢いに負け、ミクちゃんと梓ちゃんが僕達側に吹き飛ばされた。

服はボロボロ、破れて無数の切り傷が入っている。

「ミクっ、梓っ!大丈夫っ?・・・くっ!」

菜野葉ちゃんは一人で奴らの前に仁王立ちし、必死に踏ん張っている。しかし、もうすぐ彼女も二人と同様に戦闘不能になるのは間近だった。

「救世主様っ!今すぐ、ミクと梓に魔力供給して下さいっ!」

奴らの邪気に、意識がぼんやりしていた僕をガクガク、肩を降って女神ちゃんは叫んだ。

「この状況を覆い返すには・・・魔物を倒すには、救世主様の魔力を、魔法少女に補給しないとダメですっ、今すぐに・・・、良いですねっ!」

女神ちゃんは僕の目を見据えて、そう叫んだ。

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