新しい人生が始まる
ゆっくりとまぶたを開けると見慣れない天井が見える。
オレは周囲を見渡し状況を確認。
「………そうだ。引っ越してきたんだった」
今日から通うことになる希望ヶ丘学園は全寮制。
そのため前日に学生寮に引っ越していたのをすっかり忘れていた。
今日は入学初日、入学式がある。
ベッドから降りてカーテンを開けると、朝日が部屋の中へと差し込む。
オレは洗面所に移動し鏡で自分の顔を見た。
新たな生活が始まろうとしているのに、死人のような表情をしていた。
表情を操作して無理にでも笑顔を浮かべる。
「…………変わらないな。相変わらず」
今日から新しい人生が始まる。
昔、夢にまで見た学生生活。
普通なら新しい環境に心躍らせ、夢と希望に満ち溢れているところだが、生憎とオレの表情は暗い。
これから過ごす時間は、オレにとって特別な時間になるだろう。
それが良い意味でなのか、悪い意味でなのかはわからない。
ーーーいや、本当はわかっている。
わかった上で確かめようとしている。
そう願うからこそ、淡い期待を抱いての行動。
無駄だとわかっていても、確かめなければならない。
オレは制服に着替え、絶望の扉を開ける。
「行ってきます」
誰もいない部屋へと一言そう残し、足取り重く歩き出した。
オレの自分探しの旅が、今始まる。
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