秘密兵器
とある森にある洞窟の中、黒い防弾チョッキと黒いヘルメットを付けた死体の側にあるトランシーバーから音が流れる。
こち__ゼ__隊、誰か応答_よ
聞こえ_か、こち________
トランシーバーは溢れ出した水に浸かり、音が出なくなった。
声の主は第六特殊部隊、通称ゼータ隊の隊員の1人だった。
「聞こえるか!こちらゼータ隊、俺以外の仲間は罠によって全滅した!至急援護を頼む!繰り返す、こちらゼータ隊、至急援護を頼む!」
しかし返事は無かった、もうこの状況で20分は経つ。戻るにしても他の隊員を全滅させた罠はまだいくらでもあるだろう。途方に暮れたその時だった。
____ちら、ラムダ隊、了解__た。今から援護に向かう。到__は___分後になる。それまで耐えてくれ。
「やっと繋がったか!ありがたい!しかし、何分後だ?聞き取れなかったのだ」
__分後だ。それま________
「クソ、また切れやがった。あいつの電波妨害装置は強力過ぎる。」
男はため息をついた。救援を呼んだは良いものの、こちらの位置を教えられなかった。
この広過ぎる洞窟の中で発見されるだろうか。それすらも分からない。
しかも部隊の目的であるDr.Mの確保はまだ達成できていない。極秘の任務の中でゼータ部隊のうちの5名が命を落としたというのに何もできずに帰るのは如何なものか。
例え帰れたとして、彼らの遺族にどう顔を合わせれば良いのか。仲間を見殺しにしたにも関わらずその犠牲を無駄にし、ノコノコと帰ってきた男。そう見られるだろう。
男は覚悟を決めた。もうこの際、1人でも任務を遂行しよう。あいつらの命を無駄にはできない。必ずDr.Mを確保してやる。男は銃を構えて奥へと進んだ。
そして3分後、カチッと何かを踏んだ音がした。罠か。こうもあっさり俺の覚悟は崩れ落ちるのか。そう思った時だった。目の前の壁が下へと動き出した。壁はやがて完全になくなり、中には空間が広がっていた。
そこには老人らしき男が立っていた。
「そこの男!Dr.Mだな、手を挙げろ!」
『____ほう。誰かと思ったら仲間を見殺しにした哀れな特殊部隊員ではないか。よくここまで辿り着いたな。ここに来るまでに様々な罠を仕掛けたが死なずに済むとは、悪運の強い奴じゃないか。』
「黙れ!こんな事をして何が楽しいんだ!お前を確保する!」
『ふん、ここまで追い詰められるとは思ってもいなかったわ。しかし簡単にはわしは捕まらんぞ?なにせこの日の為に作り上げた秘密兵器があるのだからな。』
「なに!?秘密兵器だと!?くそっ、どんな秘密兵器なんだ、、」
『知りたいか、なら実際に使ってやろう。お前の命もここでおしまいだ。』Dr.Mはボタンに手をかけた。
「待て、そんな事させるか!今すぐそのボタンから手を離せ!さもなくばお前を撃ち殺す!」
『ほう、なるほど、この秘密兵器の秘密を知りたくないのだな。ならわしを撃ち殺せ。この秘密兵器は私以外では取り扱えないからな。』
「だからどんな秘密兵器なんだ!またこの前みたいに武装したクローンの軍団が一杯出てくるのか!」
『いやいやいや、もっっっと凄いぞ』
「ではなんだ、大爆発が起きて全てが粉々になるのか、」
『そんな単純なものではない、誰が見てもあっ、と驚くような兵器さ』
「くっ、気になる、、」
『それではお披露目してやろう』
「そんな事させるか!」
『じゃあ秘密兵器のひ・み・つ、知らなくてもいいんだな?』
「くっ、、、」男は考えた。
「で、ではこれでどうだ、俺はお前を確保しない。でお前は秘密兵器の秘密を明かす、この条件なら文句ないだろう?」
『なるほど、いいだろう。ではまずその銃を置くのだ。、、よし。いいだろう。』
「はやく見せてくれ、」
『あぁ、その前にトランシーバーの電源も切ってくれ。秘密が漏れて調査されたら本末転倒だからな』
「わかった、わかった、ほら。これでいいだろう?」
『ちょっと待ってな、この秘密兵器は安全装置の解除がめんどくさくてな。』
「あー、もうー、早くしろ!」
『そんなに言うならお前さんも手伝わんかい。ほらそこの黄色のボタンを押したまえ。』
「これでいいのか?」
『よし、安全装置を解除。行くぞ、これが私の秘密兵器だぁぁぁぁ
_______パンパンパーン
「こちらラムダ隊だ!君がゼータ隊の生き残りか!危なかったな、もう少しで秘密兵器を作動させられるところだったぞ!
ん?なんでこっちを睨んでるんだ?」
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