極白雪姫
ここはとある崖の上にある城の中。城には自分が世界で一番美しいと信じてやまない女王がいた。いや、実際世界で一番美しかったのだ。昔は。
女王が24歳の時、魔法の鏡というものを近くの骨董屋で買ってきた。その鏡の魔法というのは自分が知りたい事をなんでも教えてくれるというとても役に立つ代物だった。
若かりし日の女王は美しさというものにとても敏感で、毎日自分の外見に磨きをかけていた。
そして女王は聞いた。
鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰だ?
鏡は答えた。
それはこの鏡に映っている女王様です。
まぁそりゃそうだろうな。と女王は思った。あんだけ努力してきたのだから当たり前だ。
それから3年間毎日欠かさず鏡にこの質問をしたが結果は一度も変わることが無かった。
そして遂に飽きた。女王は完全に自分が不動の一位と思い込んでしまい努力を辞めてしまった。
_____あれから15年後の現在。
時の流れというのは残酷である。
女王は一歩も城の外に出る事なく一日の多くを部屋の中で過ごすという生活を続けた為、非常に太ってしまった。それだけならばまだいいが美しくなる努力を一切辞めてしまったのでとても醜い姿になっていた。
そんな事もつゆ知らず、女王はふと鏡の事を思い出した。そういえば私は今、どれくらい美しいのだろう。
そして鏡に聞いた。
鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰だ?
鏡は答えた。
それは白雪姫でこざいます。
誰だそいつ。女王は思った。しかし、一位の座を奪われて黙っているわけにはいかない。女王はおばあさんに変装して毒リンゴを作り、七人の小人と暮らしている白雪姫の元へと向かった。そして白雪姫を毒殺した。
そして鏡に聞いた
鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰だ。
鏡は答えた。
それは、緑雪姫でございます。
本当に誰だそいつ。女王は思った。しかし、黙っているわけもなく緑雪姫を殺した。
しかしこの後がきつかった。ランキングのTop15位くらいを色雪姫シリーズが独占していたのだ。
そして16人目のコバルトブルー雪姫を殺したところで思った。これはめんどくさいと。
そして、女王は昔鏡を買った骨董屋に超高値で売られていたロウソクを思い出した。
なんでも、どんな願い事でも一つだけ答えてくれるロウソクとの事だった。
女王はすぐに近くの骨董屋に行った。
20年前くらいに行った骨董屋はまだ残っておりロウソクも残っていた。流石に値段設定がまずかったのだろう。
そして女王は全ての財産を注ぎ込みロウソクを買った。もちろん願いは一つ。
美しさランキング一位への返り咲きだ。
そして女王はロウソクに向かって言った。
ロウソクよロウソク、私を世界で一番美しい人間にしなさい。
するとロウソクの火は消えた。そして鏡に聞いてみた。
鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰だ?
それは、この鏡に映っている女王様です。
女王は微笑んだ。これで私が一位だ。
そして美しさランキング一位の女王は久しぶりに外の世界へ出た。この美貌を全世界に知らせる為だ。
____だが女王がどこまで歩いても人に出会うことはなかった。
女王以外の人類は滅亡したのだ。
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