第6話 変異
鏡に映った自分を色々な方向から見る。寝る前までは6歳だったのに、今は13歳まで成長してるし、髪は白いし、眼は赤いし。
「昨日の私、どこ行った?」
いきなり成長しているので、違和感があるが前世の記憶があるので、逆に成長した姿の方がしっくりくる。それにこちらの体の方が、今の時点で前世よりも身長も胸も大きいから、今後の伸びしろに期待だね。
「シャワー浴びてるといっても時間かけると風邪ひいちゃうし、母様に心配かけちゃうから、さっさと済ませよ」
再度確認のため止めたシャワーを浴びながら、ステータスを確認する。
名前 ノア・アダマント
種族 呪人族
性別 女
年齢 13歳
Level 1
【STR】D
【VIT】D
【DEX】D
【AGI】D
【INT】C
【MND】C
【LUK】E
スキル
【鑑定(呪)】Lv1
【呪眼】Lv1
【変異】Lv1
称号
【転生者】【呪神レグルスの加護】【改眼】【異種族】
「えっと、能力値が軒並みランクアップで、LUKは変わらないのか、上昇数値が低いのかはわからないな。後変わっているのは、種族が呪人族になってて、スキルも全部違うね」
変わらない項目の方が少ないじゃないか……種族変わっている時点で、もう別人な気がしなくもないのだけど……
「パパっと見ていきますか」
もう変わったことを変に悩んでも仕方ない。
【呪人族】
この世界初の種族。呪と関係性のあるスキルとの親和性が高い種族。
【鑑定】
使用対象のステータスを確認できる。Lvやスキルに応じて、閲覧可能な項目に制限がかかる。
【鑑定(呪)】
【鑑定】スキルが改変している。
使用対象の本質、
メリット:使用対象のスキル、称号、隠蔽項目の鑑定可。
デメリット:1日の使用回数に制限有。装備等による能力上昇効果が乗らない。
【真眼】
物の本質を見抜く。【隠密】【隠蔽】などのスキルに対して影響する。
【呪眼】
【真眼】スキルが改変している。
使用対象に
メリット:Sランクスキル以外での弱体効果防護手段不可。
デメリット:1日の使用回数に制限有。弱体効果選択不可。
【変異】
【変装】スキルが改変している。呪人族へ変異するための起動スキル。
「ふむ…」
最初に思ったのは、強いが使い勝手はあまり良くないという印象だ。改変すると今のところ必ずデメリットが発生するものばかりだ。呪人族へ変異するための起動スキルだけデメリットがないくらいか。
【鑑定(呪)】は通常見れない相手のスキルや称号などが見れるのは強力だが、本質を見抜くため、上昇効果、つまりバフがある装備やスキル等で能力が上昇されていても、バフ無しで鑑定されてしまうということだ。
【呪眼】は弱体効果、つまりデバフを相手にかけれる。しかもSランクとあるが、高ランクであるだろうスキルでもないと、防ぐことが出来ないスキルということかな。だが、何がかかるかはわからない、ランダム性が高いところがデメリットと。
Sランクスキルってことは、スキルにもLevelの他にランクがあるってことか。母様の言っていた先天性スキルに強力なのが多いというのも、このランクに関係しているのかもしれない。
スキルの確認で思いのほか時間がかかったので、シャワーを切りあげるため、【変異】スキルで人族へ戻る。
すると、体の力が抜け、自力で立っていられなくなり、フラフラと壁に手を着くが、支えられず、そのまま倒れてしまう。かなり音が響いたのか、母様と側付きのメイドが叫びながら名前を呼び、シャワールームへ入ってきたが、体に力が入らず、目で母様に大丈夫だと訴えかけるしかなかった。
側付きのメイドに簡単に体を拭かれ、ベッド近くで軽く髪を乾かすと、直ぐに横になる。
「大丈夫?」
母様が心配そうに私の髪を撫でる。小さく頷くことで、答えるがベッドに横になったためか、直ぐに意識が遠退いていき、そのまま寝てしまった。
意識が無くなる前に思ったことは、【変異】スキルにもちゃんとデメリットを書いとけということだった。
翌朝、扉のノックの音でぼんやりと意識が覚醒する。私が起きたことに気づいたのか、既に起きていた母様が私に近づいてきて、髪を撫でる。
「ノワ、どう?どこが悪いとかない?」
母様に髪を撫でられ、話しかけられたことで、はっきりと目が覚めると、自分の体調を確認し、問題ないことを告げる。
「そう、よかったわ。でもとりあえず治癒師に見てもらいましょ」
「うん」
母様が先ほど入ってきた側付きのメイドに、治癒師を呼んでくるように頼み、メイドが用意した紅茶を、上半身だけ起きた私に渡してくれる。
のどが渇いていたのだろう。シャワーを浴びた後だったし、とても美味しい。
ゆっくり紅茶を飲んでいると、先ほどのメイドと共に、昨日も診てもらった治癒師が入ってきた。
ベッド脇に簡易の椅子を用意して座ると、失礼しますと断り、【診察】のスキルを使う。【診察】スキルは鑑定と違い、能力値ではなく、体の体調や状態などを調べるのに使用するスキルらしい。
治癒師を目指す人が、まず習得を目指すのが【診察】スキルと呼ばれるくらいメジャーなスキルだ。
「もういいですよ。……体の疲労が見られますが、特に異常なしですね」
「そう……でも心配ね。こう何度もあると……」
母様は治癒師の人の診察を信頼しているのだろうが、寝て起きなかったり、突然倒れたりしたら、それは心配になるよね。理由を言えればいいんだけど、母様以外に聞かれてもいいのか迷う。
記憶の中では側付きのメイドはよく一緒にいるし、母様も信頼を寄せているけど、こちらの世界の作法とかよくわからないから、これが普通なのかもしれないし。
治癒師の人も毎回この人で、母様専属なのかもしれないが、あまり記憶にないから判断に迷う。
母様と2人きりって基本夜寝る時まで無いからなぁ。前世と違い王族とはプライバシーがあってないようなものだってどこかで聞いたことあるし。
私がどうするべきか悩んでいると、扉がノックされる。母様が入室を促すと、アダマント王国の兵の恰好をした人が入ってきて、敬礼する。
「自国より交渉人が到着したようです」
「やっと来たわね。代表は誰?」
「はっ!第2王子、アルノート殿下であります」
「そう、アルノート兄さんが来たなら、任せましょう。こちらに来る予定は?」
「はっ!アガット教国側が交渉前に会う事を禁じています。代表で外務大臣とは接触することは許され、2人が代表でアガット教国側と交渉を行う手筈になるかと」
「わかったわ。ありがとう」
「はっ!失礼します」
知らせに来た兵士が出て行き、母様の雰囲気が王女から母様へ戻る。先ほどのが公務のときの母様って感じかな。いつも私を甘やかしてる母様じゃなく、出来る女みたいな感じでカッコイイね。
「アルノート兄さんが交渉にあたるなら、アガット教国への対応は任せてしまいましょう。メイは外務大臣が部屋に戻り次第、交渉の状況などを聞いてきて頂戴」
「わかりました」
側付きのメイドは軽く会釈をすると同時に、用意していた3人分の紅茶を淹れてくれる。
治癒師の人は、診察結果や状況観察などをまとめている、カルテのようなものを書いていたが、紅茶を差し出されたので、書くのを止め、みんなで一息つく。
「この後はどうなりますかね」
再びカルテに書き始めながら、雑談な感じでつぶやく。
「そうね、私の予想が正しければ、交渉を長引かせようとするアガット教国側は折れるはずよ」
そういう母様の顔は確信を得ているように見てた。
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