第27話:ドイツでルームメイトが脱走(確保と確保後)
ルームメイトが脱走が発覚してから約1時間。
大きな看護師二人に腕を捕まれた状態で連行され、隔離病棟へ戻ってきた。
脱走者はドロドロの服装で、汚い恰好だった、服も掴まれた様なシワもある。
脱走者は、全く反省していない。不貞腐れた顔だ。
彼は勿論の事、監視カメラ付きの部屋で監禁だ。
ここからは、聞いた話だ。
彼は喫煙所で、タバコを求めていた。
その時、居たのは、オープンステーションの男性陣だ。
彼らは病院内で情報共有をしている為、誰が居るのかを知っている。
新しく入った人と思えるだろうが、そんな事は無かった。
そこの喫煙所に居た人達は、皆、違和感を持ったそうだ。
見かけない顔で、中東人で、服もドロドロ。
そんな人聞いた事が無い、明らかにおかしい奴だ。
そう思われたそうだ。
脱走者であるその男は、「タバコ、タバコ」 と言っていたそうだ。
彼らはドイツ語で話しかけたが、分からない様だ。
結局、男性陣は彼を拘束した、大人4人で、元陸軍もいた事から、
簡単に私人逮捕できたそうだ。
結果として、脱走が病院内に知れ渡る頃には彼は捕まっていたのだ。
そこへ彼をオープンステーションへ連れて行こうとした所で、
隔離病棟の看護師に見つかり、戻された。
と言う流れだ。
彼は捕まったが、これで終わった訳ではない。
彼は即拘束具での拘束が確定。
警察官二人と看護師で、彼をベッドへ拘束した。
※ドイツでは拘束具を付ける時、警察が居なければならない。
彼は数日は拘束された状態で監禁された。
数日後、彼の拘束具が解かれたが、監禁は変わらない。
そしてまた面倒を起こす。
彼はドアを叩き続け、ハローハローと叫んでいる。
最初は、看護師はドアを開け確認をしていたが、
タバコの要求だった。
看護師は怒った口調で、断っていた様だ。
だが、彼はこの程度ではめげない。
ドアを叩き続け、ハローハローと叫び続ける。
まるで呪いの呪文の様に、延々とハローハロー、ドンドンとドアを叩く。
そう、ずっと。
僕は彼が最終的にどうなったかは知らない。
と言うのも、彼の最後を見る事無く、隔離病棟を去ったからだ。
この脱走事件にはまだ続きがある。
そう、それは病院の管理問題だ。
まず現場、看護師達は確実に言われただろう。
医師も絞られた様だが、何処からかまでは分からない。
多分州か群、その辺だろう。
僕は看護師さん達と仲が良く、タバコを吸う仲間だ。
今回の件について教えてくれた。
と言っても、愚痴を聞いていただけだが。
「脱走した場合は、直ぐに警察に連絡するシステムなんだ」
「そして、院内へ通知、人物のデータを共有して、巡回」
「それでも見つからない場合は、警察の管轄になる」
「今回は院内で済んだけど、街に出たら、大変な事になる」
「そして私達は、始末書…」
「幸い、罰金は無いけど、査定に響きそうね…」
と暗い顔で言っていた。
僕は質問をした
「これだけ彼に振り回されたのに、彼に怒らないんですか?」
彼女はこう言った、
「私達はプロの看護師だから怒らないわ、彼は病気、ここは普通が通じない施設。
だから予想外しか起きない、そういう世界よ、でも、個人としては張り倒したい」
この事件を思い出す度に、いつも思うが…
ガラス戸が開いているのはヒューマンエラーだと思うが
いつから開いていたのかが分からないと言う事は、
ガラス戸を毎日確認する行動が無い為だ。
これがシステムの問題か、故意に確認を怠ったヒューマンエラーか。
確認する過程が無いからして、システムの問題だ。
毎日確認する事を形式化すれば、ガラス戸が開く事は発生しない、壊す以外は。
にも拘わらず、現場の責任になる。正確にはその日、現場で仕事をしていた人達の。
仕組みについてなのだから、本来マネージャーレベル、病院レベルの問題だ。
原則、人のエラーは人で回避する事は出来ない。
仕組みで正す事が、確実性が高い。
あの後、毎日の施設確認で確認項目にガラス戸が追加されたそうだ。
デスヨネー
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看護師さん達のプロ意識は凄かった。
どんなに汚くても嫌な顔をしなかったし、いつも真摯に向き合ってた。
全力でいつも仕事をする、当たり前だけどそれが出来るのは凄い。
ただ、給料安いし、人員不足だ、って嘆いてるのは万国共通の様だ。
尚、看護師さんに日本での働き方を言うと
「う、嘘だよね…?」、「犯罪じゃん!」、「何その罰ゲーム」
と回答を得た。
言った内容は
・日本は始業時間に煩いが、終了時間はスルー
・日本にある一部企業にはサービス残業と言う、奉仕活動がある
・仕事終わりに上司と飲み会と言う、無駄なイベントがある
日本の社畜を聞いた反応もやはり万国共通。
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