第26話:ドイツでルームメイトが脱走(問題発覚)

元ヤン男が病室から去ったその夜。

僕は一人部屋で眠っていた。

電気が点いた。

看護師が二人と男が一人入ってきた。

何かしてる。

看護師は僕を見て謝った

「~~~~~」

何を言ってるか分からないけど、寝る。

翌朝、5時に目覚めて、隣を見ると、知らない人が寝てる。

僕は夢だと思っていた。

新しいルームメイトが居たのだ。


この人の名前すら知らないし、顔も覚えていない。

ただ、言えるのは、中東人。それ位だ。

そもそもコミュニケーションが出来なかった

ドイツ語も分からない、英語も通じない。

ただ、言えるのは、この人は行動結果を考えない人だと。


この男は、タバコをすぱすぱ吸う。

1時間に何本吸ってるんだ?

毎回、喫煙所に居る、喫煙所の妖精か?

と思う位見かける。

数日たって、彼はタバコがなくなると、ナースステーションへ貰いに行く。

そしてタバコを吸い、部屋に戻る、数十分後、またタバコを貰いに行く。

看護師に断られ、部屋に戻る。

後から知ったが、あれは彼の物ではなく、善意で置かれてる支給品だったそうだ。


ある日の昼過ぎ、僕は部屋でゲームをしていた。

何も考えないで良いゲーム、「Grim Dawn」

ハクスラだ、ただマウスをポチポチしてるだけのゲーム。

ゲーミングノートの為か、ファンがフル回転している。

タバコが吸えたか吸えなかったかは分からないが、

彼は部屋に戻った、そしてカーテンを閉め、ベッドに横たわった。

すると、こちらを向き「静か!」とドイツ語で言うのだ。

(ああ、この状況は、彼が寝たいから、ゲームを止めろと言う事か)

まぁ、良いか。 タバコ吸えないでイラついてんだな。

と軽い気持ちで考えていた。

ノートPCを閉め、バッグに入れ、共有スペースへ移動した。


ナースステーションへの道中で、若い女性看護師から声を掛けられた。

取り合えず、この人は…ジルとしよう。

ジルさん、金髪で鼻ピアスで腕のタトゥーが凄い人。

見た目は、そう、パンクとかエモ系だ。

日本語の勉強をしたそうで、挨拶が出来る。


ジ:「こんにちは、〇〇、体調はどう?」

僕:「んー…です」

ジ:「そう…まだ薬が効いてないのかな?あと、ルームメイトと上手くやってる?」

僕:「あー…あんまり興味が沸かない人ですね、何故です?」

ジ:「彼、タバコ吸えないと、イライラして貴方に当たってないかとかの確認よ」

僕:「損害は受けてないですよ、ただ、あんまり穏やかな人じゃないですね」

ジ:「そうね…ここだけの話だけど、

   彼のご両親からタバコを吸わせるなって言われているの」

  「吸えないと暴れるから、この病院へ入ったのよ」

僕:「あ、そうなんですね」

ジ:「もし、何か遭ったら言ってね、あとタバコの管理も。」

僕:「気にかけてくれてありがとうございます」

ジルさん優しい。


僕は共有スペースでゲームを再開した。

(シャーマン楽しいなー)

そんな事を思いながら、1時間程プレーした。

喉が乾いたから、病室へ戻り、飲み物を取りに行った。

病室を開けると、違和感を感じた。


空気が違うのだ、新鮮だ。

そして、ガラス戸にある長いカーテンが揺れている…

ガラス戸を確認すると、開いている…

僕は急いで看護師を呼んだ。

「あの、僕の部屋にあるガラス戸が開いているのを確認しました、来てください」

看護師さん達、一瞬で真顔になり、病室へ走った。

部屋へ戻ると、いつにもなく危機感を抱いた顔だった。

ある看護師は電話を取り、連絡している。

他の看護師はガラス戸を施錠。

野次馬が集まってきて、看護師さんが何か言ってる。

そこにマイクも居て、こう言った

「悪いが、部屋で待機してくれ、後で状況確認に来る」

これが、緊急事態なんだなと思った。


それから、僕はマイクにどういう状況だったかの共有をした。

僕が知っているのは1時間以内に起きた出来事と思われる事。

ガラス戸には触れてない事。

マイクは頭を抱えながらこう言った。

「逃げたのは君のルームメイトだ」

「あー…あいつか…」


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今回は一旦ここで一度切ります。


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