4-EX 研究室の日常
アカデミア三階の中庭側の部屋。そこを訪れる者は、講義を聞きに来る見習い以外では、基本的にはただ二人しかいない。すなわち、『
今日も今日とて『
「あ、そうだ。すり鉢を取ってきてくれ。」
言われると、即座に『
「何か思いついたのですか?」
『
「いや、昨日例として言ったことを、そういえば試していなかったと思って。」
「その程度のことなら、私がやりますよ。」
『
「いや、私はやりたいからやっているんだ。君にはほかにやることがあるだろう?」
『
「今日は掃除も終わりました。だから、私がやります。」
「いーや、僕がやる。」
『
両者の乳鉢にかける力はだんだんと強くなっていく。
「お放し、ください。」
「放すなら、そっちだ。」
だんだんとすり鉢がカタカタと揺れ出し、ついには『
「あっ。」
「あっ、危ない!」
中の粉末が外に飛び出す。飛び出した粉末は、脇に除けられていた電池の方へ向かっていく。
「守りを!」
「固まれ!」
瞬間。二人の目の前で爆発が起きた。しかし、互いにかけた魔法のおかげで、二人が傷つくことはなく、代わりに天井が焦げ付くこととなった。
「ふう、危なかった。」
「これだけはいつまでたっても慣れる気がしませんよ。」
そうは言うものの、『
*****
掃除を終えた『
「ああ、昨日準備がどうと言っていたのはこれだったのか。」
「あれ、昨日の子ですか?レミさん、でしたっけ。」
『
「あ、あれ、相手の方は『
「君はよく人の名前を覚えていられるね。」
「お師匠が覚えなさすぎなんですよ。」
「名前は覚えていなくてもさほど困らないからね。」
「誰のおかげで困らないんでしょうね。」
少し嫌みっぽく言っても、気にせず『
『
二人でしばらく外を見続ける。と、お茶がなくなったところを見てすかさず『
「それにしても、お師匠が人の顔を覚えるなんて珍しいですね。」
「まあ、旧友が突然連れてきたからね。嫌でも覚えるさ。」
「でも、名前は覚えてましたか。」
『
「あの、まさかとは思いますが、貴方の旧友のお名前は覚えておいでですか?」
「分かるよ。会えばね。」
『
とはいえ今に始まったことではないと諦め、椅子の準備を始める。
「あれ、今日は何かあったかな。」
「今日は講義の日じゃないですか。そろそろ見習いの子達来ますよ。」
「おっと、そうだったか。
と、ノックの音が響いた。
「どうぞ―。」
『
やがて大人の魔女と子供の見習いが入ってきて、椅子に座る。
そして、『
「さて、よく来ました。今日は何の話をしましょうか。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます