2-EX クランバティ山賊団のその後
魔女たちの魔の手から逃げおおせたクランバティ山賊団は、自分たちのアジトで作戦会議をしていた。
「いやー、しかしこんなことになるならあの
山賊団一の怪力を誇るゴッダが下卑た笑いを浮かべる。
「しかし、かの旅人にはかなわなかったとはいえ、『
山賊団一の頭脳を持つノーマンが、眉間に中指を当てながら反論する。念のため書いておくが、メガネを付けている訳ではない。頭が良く見えそうなポーズをとっているだけである。
「なあに、魔女なんて口を縛っちまえば何にもできねえって、あいつ自身がそうしてたじゃねえか。」
「そうすれば今度は次の朝にでも我々が殺されていたでしょうね。」
「なんだとぉ!」
「なんです?」
「止めねぇか!」
団長のゼンゴ・クランバディが一喝する。後ろでナイフジャグリングをしていたヨンダイも、ナイフを落としてしまう。
「団長、そんな大声出されるとビビっちまうわ。」
「終わったこたぁもおいい。大事なのは、これからどうするか、だ。」
と、炊事係のマケウスが食事を運んでくる。
「流石でさぁ、団長。さ、スープをどうぞ。」
「おう。……それで、どうする、ノーマン。」
「そうですね。なんにしても魔女という大きな戦力を失ったのは確か。当然、これまでと同じ収益を上げることはできなくなるでしょう。」
「それをどうするか考えんのがてめえの仕事だろうが。」
「まあ待ちなさい。……やはりまた人を増やすべきかと。」
団長は頷いた。
「そうだな。問題は誰を、ってとこだな。」
「ええ。……今回のことで身に染みたことは、『上には上がいる』ということです。我々では到底かなわない魔女でさえ、その中で上下関係がある。つまり、最強を目指してもどこかで破たんしてしまうということです。」
一同は黙ってノーマンの話に耳を傾ける。
「我々は今回幸運にも逃げ切ることができた。しかし、基本的に我々には負けはありえない。良くてどこかの町の役人に引き渡される。最悪は、死です。」
「早く結論を言えってんだ。まどろっこしい。」
「ええい、急かすんじゃありません。我々は今回ハズレを引いてしまいました。ハズレの魔女を雇い、ハズレのエモノを襲った。つまり、われわれがまずどうにかするべきなのは、ハズレを見極める力だと進言します。」
団長は確かめるように何度も頷いた。
「なるほど、見極める力、か。確かにな。」
「問題は、どのようにその力を持っている者を探すかですが……。」
「そいつは簡単だ。」
全員が団長に注目する。
「俺らが雑魚だって、そう見極める奴を探すのさ。」
この後、『クランバティ山賊団』の居るところでは、「そこそこの用心棒を雇わなければわりと危ない」と、まあまあ有名になるのだが、それはまた別のお話。
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