2.黄金ゼリィ

 食材狩人の父さんが持ってきた貴重な食材『太陽光』この地域で祝いのご馳走に必ず使われる、縁起の良い食材だ。

 瓶に入れられ、その上遮光巾着に包まれているというのに、調理場全体に暖かさが広がっている。


「依頼主さんから、今日はデザートに仕立ててくれって言われてね。黄金ゼリィにするわ」


透き通る黄金色が美しい、最高に澄んだゼリィにするには、細心の注意を払わなければならない。

魔法菓子職人の中でも、その技術を持つ者は少ない。

 その数少ない中に、うちの母さんがいるのだから驚きだ。見た目は普通のおばちゃんなのに。


「さ、太陽光の作業をするわよ」


 色付き眼鏡と手袋をした完全防備の母さんは、職人らしい顔つきでそう言った。


:::


2016-02-06

#Twitter300字ss

お題:光

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る