第X話 街角の電気屋_5

 何かに引き寄せられたように、森田家の女子たちが京司の部屋に集まっていた。

 物だらけでやたら狭い。

 母も現れ、なおのこと狭い。

「京くんのことだから、戻ってくるよね」

 沙織は京司が消えた空間に向けて、呼びかけた。

「いっそ会いに行っちゃえ」

 叔母がにぱっと笑った。

 隣で母が静かに笑う。

 不思議と、悲壮感がほとんど無い。

「もお、森田家の男子ときたら」

 曾祖母がふんわり微笑んだ。

「ごなー」

 この場で唯一の男子、タレ助が欠伸をして、京司が消えたその場所で丸くなった。

「さて、そろそろダンナが来る頃だよ」

 カラン。

 鈴の音が響く。

 店の扉が開いた音だ。

そして、”ダンナ”の声。

 

「ゐーす」

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世界の半分をドラゴンと ぷよ夫 @PuyO_O

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