第4話 通信局a
話が決まると、すぐに修理チームが編成され始めた。
どうしてここまで、と京司は思った。
わざわざ編成することもだが、彼一人のために人手をさくこと自体驚きだ。
「この生き物ほ……」
荷運びにと、ニワトリが宛てがわれた。
どう見ても、茶色い羽毛で赤いトサカの、ただのニワトリなのだが、とにかくデカい。背たけがヒトと変わらないくらいだ。
その背に蓋付きのカゴが括り付けられていて、荷物を運ばせられる。
はじめは、馬引きならぬトリ引きが付けられたが、すぐに京司に懐いてしまった。
「マッシュ、おいで」
「くゎ」
京司は、その巨大ニワトリの首筋にキノコのような白い模様を見つけて、名前をつけていた。
「普通は、こんなに懐かないんだけどな」
アンゼが、京司に引かれると言うより、てくてくとついていくマッシュを不思議そうに眺めた。
「小さい頃から、動物や鳥とは通じ合うものがあってさ」
アンゼを見て、三秒後に道端でたたずんでいた猫っぽい生き物を見つけた。
「お前はどう思う?」
「ごろニャ」
猫もどきはゆっくり瞬きし、京司の足元まで歩いてくると、身体をすこんと擦り付けて去っていった。
「ぬこは、警戒心が強いはず……」
ポカンとアンゼがそれを見送る。
「それじゃマッシュ、頼んだ」
京司は持ってきた大きな工具箱をカゴにほいと乗せると、マッシュはこころなしかキリッとして「くゎっ」と鳴いた。
「力、あるんだな」
「そこそこ、かな」
使い慣れた工具箱で、もっと重たかったはず、と少し違和感を感じる。
しかし、さっき中身をチェックしたばかりで、あえて出したもの以外に中身は減っていないはずだった。
と、少し考えながら歩く京司の後を、マッシュはトコトコと大人しくついてきていた。
「何でも懐かれるのか。便利というか」
ぬこを見て、トリを見て、アンゼはふと自分に至った。
「……んなことは」
馬鹿な思いを脇において、周りを見てみると、すでに三人、剣や弓を手にした男女が現れていた。
「これしか出せなくて、すまない」
人を集めてきたのはグッラだったが、ものものしさに、京司が「これは」と声にする。
「見ての通り、護衛だ。言った通り、物騒でな」
港からでは分からないが、地元の者が言うのだからそうなのだろうと、ひとまず納得することにした。
その一団から一人前に出て「ヤウレです。案内します」と、挨拶した。
「森田です。よろしく」
「私がガエン」
ヤウレの隣で、色黒でマッチョの大男が名乗る。
「ユラです」
一歩下がったところで、耳の長い、外見上は少女の護衛が小さく言った。
そして、五人と一羽まで増えた京司の一行は、街外れの通信局に向かった。
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