検察審査会1
次の日、下野が自室に向かう途中、加藤支部長とすれ違ったため挨拶をしたが返事がなかった。「えらく不機嫌だな」と下野は思った。
自室に入ると活字嫌いの田中が新聞を読んでいた。
「珍しいな」
下野は聞いた。
「検事もご覧になりますか」
田中が返す
そこには『検察 窃盗を繰り返した元大臣の息子を不起訴』という記事が踊っていた。
「これだな」下野は支部長がお怒りの訳が分かった。
昨日、不起訴処分をした少年Aのことだ。不起訴を指示したのは加藤支部長だった。
恐らく元大臣からもみ消しを依頼されていたのだろう。
悪いことは続くものだ。この件が検察審査会に諮られることになったのだ。
下野を支部長室に呼び出した加藤支部長は
「わかってるな」
と言った。
検察審査会では担当検事の意見も聴取される。おそらくそのことだろう。
検察審査会議が開かれた。
一回目の議決は起訴相当という議決だった。
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