第8話 狂人としての彼の使命は…
これは夢だ
また見てしまった
しかし今回は狂人としてそこに立っていた
その時代には何千何万と殺した狂人がいた
その狂人は生まれた頃より人を喰らい
成長の為…日々生きるため…快楽の為に
人を殺し、喰らい、そして燃やした
狂人は不思議な力を持っていた
それは発火とも言えない小さな火を灯すこと
しかし人を殺して5年もすると
その火は大きくなっていった
曰く…死者の魂だと
曰く…憎悪の塊だと
曰く…曰く
と後世の学者たちは述べる
しかし本人は知っている
これは人が零した悲しみの火だと
理解はしていない悲しみなど感じたことがないから
しかし知っていたこれは悲しみだと知っていてなお
その火を使い続けた10年程経つ頃には
この火は炎と呼んでも良いくらい
大きくなってしまった
そして次第にその炎は青色に変色していった
きっかけはある剣士との決戦
恐らくはかの狂人を最も追い詰めた人物であろう
その剣士は死闘の末に敗れ
最後に名も無き剣士は「悲しいかな…」
と言い残して死んでいった
狂人は理解してしまった人の悲しさを
そしてその目からは生まれて初めての涙が流れていた
まだとても濁っていて血涙とも言えようこの涙
この涙は
今まで積み重なって…いや、
積み重ねてきた死体の山へ向けた
申し訳なさの表れだったのかもしれない
そこで狂人は気づく何故私が生きていて
喰らってきた人々は死んでいるのか
喰う喰われるの中で敗れていった人達だが
私というイレギュラーに喰われてしまった無念を
なぜ今まで感じれなかったのだろうか
溢れ出る涙は止まらなかった
こちらの世界に来て忘れてしまっていたこの記憶
人の優しさを知り
人の悲しさを知り
人の怒りを知り
人を少しだけ理解した狂人
そんな彼はその世界が終わってしまう危機を
たった一人で押さえ込み自分という犠牲を払い
世界を救ったもちろんそんな事をしても
殺した人達は笑わないだろう
だからこれは自己満足だ
もし…
貴方達が笑ってくれるのなら
私はいくらでも無理をしよう
これは願望だ殺して来た人たちへの私の願いだ
安らかになんて言えないきっと悔やんでも悔やめない
残った遺族たちがどれほど私を憎んだか
でも…
私は、自分勝手ながら気づいたんだ
私の狂人としての生は、無駄ではなかった
貪り喰らい憎まれ殺す、そんな中でも
私と言う形が出来上がった
だから
殺してしまった人々よ
謝りはしない…
私が生きるためにした事だしかしどうか聞いて欲しい
狂人としての私はもう押し殺した
【狂人】だったはずの私は
勇者になるそうだそんなありえない物語を
君達は間近で見ることが
いや…
見えてしまうのだ
そんな私をどうか笑いものにして欲しい
何年何百何千といくら時間がかかってもいい
どうか…貴方達には笑っていて欲しい
我儘だ…傲慢だ…
そしてそんなことは不可能かもしれない
私には殺すことしか出来なかった
それしか知らなかったから
でも今は救うことも覚えた
いつかはきっと君達も救ってみせる
だからそれまで
私を酒の肴にでもして話をしててくれ…
幸運なことにここには神様がいる
私の生い立ちを説明をしたら
軽蔑するかもしれないが
それでも貴方達に
最高のお酒とあの世での幸せを
約束してもらおうと思う
「別に
私達は貴方を心の底から憎んでなどいませんよ」
「ただね悲しいと思うんだ」
「優しさを知らずに生きてしまった狂人よ」
「「「どうかこの世界では…」」」
「「「優しさ溢れる良い人生を」」」
…っ…これは自分の妄想だと割り切れるほど
私も大人ではない…
その頬を流れる大粒の涙には
透き通るような優しさが写っていたという
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なんだか少し内容が被ったような…
くぅ…自分の能力の低さが
ここまで悔やまれるとは!
来週は忙しいので
毎日は投稿できませんが
何とか頑張ってみます!
という訳で
第8話
読んでいただきありがとうございます
アドバイスやご指導ありましたら
コメントをよろしくお願いしますm(*_ _)m
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