第6話 昔の彼と同じ目をした獣
ここ2週間散策しては
魔物に会い、魔物に会ったら
色々試しながら倒してきた
そんな私たちだがなんと今は大ピンチである
明らかに雰囲気の違う魔物が
私たちの前に現れたのは少し前のことだ
おそらく5mはあったであろう
その巨体に似合わぬ高速移動
そして巨体通りの剛力
私は攻撃は得意だが
今まで防御というものをしたことがなかった
それは前世でもそうだった
そんな私だから攻撃をもろに食らってしまった
腕を使い衝撃を抑えようと試みたが
すぐに砕けてしまった
その後に肋、内臓、首の方までダメージが届き
ほぼ瀕死の状態になってしまった
今はアリシエの回復魔法と結界魔法
そして防御魔法の重ねがけで
何とかなっている状況だが、持って3日らしい
その間にどうにかしなければならない
今までの敵のように変化を使っても
ダメージはほとんどないであろう
…いや待て、
身体強化ができるのなら
それを武器に付与できるはず
水無月「やってみたいことが出来た
…もしかしたらまた死にかけるかもしれないが
行っても良いだろうか」
アリシエ「ダメです
…と言っても貴方は言葉巧みに誤魔化して
行ってしまうのでしょ?」
水無月「……まぁ、」
アリシエ「ならせめて私が見えてる範囲で
お願いしますよ」
…本当は行って欲しくない
そう思うのは当たり前だろう
これでも一緒に旅をしている仲間だ
それでも行けと言ってくれたアリシエには
水無月「ありがとう」
感謝が必要であろうっ
その言葉と同時に水無月は駆け出した
ストックしていた
木の棒を【刀】に変え
身体強化魔法を体に
そして武器強化魔法を【刀】へ
鈍く輝いてたその刀身には
赤黒く亀裂のような模様が浮かぶ
そしてバキン、という音と共に
【新しい刀身が出来た】
グレードアップしたのだろう
少し重くなったが
それは寧ろ丁度いい重さと言えるくらいだった
私は武器強化魔法が成功したと確信した瞬間
スピードを上げ
【刀】を鞘に納め
一撃必殺の構えに転じる、
それは前世で最も苦戦した相手が使っていた剣術…
水無月「スゥ…」
息を整え…精神を研ぎ澄まし…目の前の【私】を
捉える
その眼には飲み込まれそうな青が浮かび上がる
その瞬間恐らくは経験したことの無い悪寒を魔物は
感じ取ったのだろう
こちらにドス黒い殺気を送ってくる
そんなものは微塵も怖くない
…なぁ…私と同じ眼を持つ【朋】よ、
お前には何が見える
何千何万と殺したお前には何が見えた
私には
「真っ白な太陽と
真っ赤な空が見えるようになったよ」
そう語り掛けた私の顔は魔物の目の前にあった
覇道の欄第5節霧島一刀
その刃は正確に魔物を捉えた
斬られた、という考えに魔物がたどり着く頃には
身体はずり落ちていた
痛みはなく、ひとつの芸術のような
ありえない程綺麗で それでいて優しかった
それはそばで見ていたアリシエにもわかった
彼は同じ目をしていた魔物を【朋】と呼び
安らかに苦しみを与えないように
斬った
水無月「また…会おう【朋】よ」
誰に聞こえるでもなく
ただ1人呟いた…
かくして彼らは驚異を排除した訳だが…
水無月「なぁアリシエ」
アリシエ「…なんですか?」
戦い始めて感じていたことを
アリシエに話す
水無月「こいつはさ
俺と同じだったのかもしれないな」
アリシエは彼が何を言っているか本質は
分からないであろう
でも…そうだと言えるほどには
彼の目は 悲しく…それでいて優しく
美しい目をしていた
アリシエ「そう…ですね」
かの森には
1000年を生きた魔物がいたそうな
その魔物は最初は子犬だった
その子犬は生き抜くために
喰らって喰らって喰らって
生き延びてきたそうな
死にたくないから生きていたのではなく
何故か死ねなかったのだ
…そんな魔物を
【朋】と呼んでくれた相手がいた
それは安らぎを…感じたことの無い悪寒と共に
運んできた
あぁ…こいつに殺されるために
生きてきたと思えた、思えてしまったのだ
もし出会う場所が…
もし私が【人間】であったなら
きっと
この人には
心底惚れていただろうなと
最後の最後に自分でも
考えたことの無い
想像をしてしまったのであった
…………………ズバ…ドシャ
あぁ…【朋】よ
また会いましょう
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
という訳で深層の森編
クライマックスシーンを書き終わりました
もう少し伸ばしてみたかったですが
私ではまだ無理でした…
これはアンケートですが
この魔物には
再登場を望みますか?
Yes or No
皆さんの意見が物語を動かすかもしれません!
っと言うわけで
第6話
おしまい!
読んで下りありがとうございます!
これからも精進致しますので
末永くよろしくお願いしますm(*_ _)m
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