序章2:洞窟からの脱出Ⅰ
まずはこの洞窟を生きて抜けなければいけない。
ゴブリンの数は・・・
俺を運んでいたのが四匹、最初に倉庫に二匹いたから・・・
最低六匹はいるのか。
しかも、手紙によれば一匹一匹が今の俺より強いときた。
多分、めっちゃ素早いとかそういう感じなんだろうな。
一発で仕留められるように剣を振る練習をしておかないと。
足を縛る縄を剣で切って、素振りをする事にした。
足音を聞き逃さないようにしながら、剣を振る。
剣道の竹刀より短いと思うんだけど、両手で振っても体が持っていかれるくらい重い。
横に振るよりは、叩き割るイメージで振った方がいいかもしれないな・・・。
しばらく素振りをしていると、急に剣の重さが変わった気がした。
だけど剣の重さが変わるなんてありえないと思う。
一つ気付いた事があったのでステータスを確認してみる。
◆
カケイ アズサ 16/男 冒険者Lv2 SP3
HP50/50 MP15/15
攻撃:13
敏捷:13
耐久:13
知力:13
技力:13
【アイテムストレージ】【投擲】
◆
やっぱり、レベルが上がっていた。
素振りでも経験値は入っていたようだ。
攻撃か技力が上がったから剣が軽く感じるようになったのかな?
スキルも一つ増えた。
『投擲』・・・まあ、そのまま対象に何か投げるスキルだろうな。
というか、SPはスキルポイントじゃなくてステータスポイントなのか、これ。
剣が軽く感じるようになったのが攻撃か技力かどちらか知っておきたいので、まずは攻撃に1P振ってみた。
・・・変わらない。
次に技力に1P振ってみる。
おお、さっきよりもなんだか剣が振りやすくなった。
武器の扱いやすさは重要だと思うし、もう1P技量に振っておこう。
SPを振った結果、ステータスはこうなった。
◆
カケイ アズサ 16/男 冒険者Lv2 SP0
HP50/50 MP15/15
攻撃:13+3
敏捷:13
耐久:13
知力:13
技力:13+6
【アイテムストレージ】【投擲】
◆
しばらくはレベルが上がったら技力を優先的に上げていこう。
少し数値がかわるだけで剣の振りやすさが全然違う。
▽
しばらく素振りを続けていると、足音が聞こえてきた。
多分だけど、一匹分の足音しか聞こえない。
これは・・・チャンスだ。
複数を相手にしたら多分死ぬ。
単体かつ不意打ちができれば、今の俺でもなんとかなるかもしれない。
素振りをしながら考えていた策を急いで実行に移す。
申し訳ないけど・・・男の死体を利用させてもらう。
牢屋の入り口から見える位置に、男の死体をうつ伏せにして腕もくっつけて設置した。
死体を動かしている途中吐き気がしたけど、吐くのは生き残ってからだ。
今グロッキーになる訳にはいかない。
男の死体を設置して、俺は死角で剣を構えて待機する。
段々と足音が近付いてくる・・・
「ギッ?」
ゴブリンが気付いたのか、牢屋の鍵を開ける音がする。
ありがたい事に影が見えているので、入ってくるタイミングは見える。
牢屋の中へとゴブリンが入ってくる・・・
ギリギリまで待って・・・待って・・・
叩き割る!
「ギャッ・・・」
真っ二つ・・・とはいかなかったけど、頭から剣でぶった切ったから生きていないはず。
頭から胸の辺りまで剣が入ったゴブリンは、緑色の血を流しながら・・・消えた。
ゴブリンがいたはずの所に、綺麗な緑の石が落ちている。
その石をストレージに保存して、確認してみる。
【ゴブリンの魔石(小)】
やっぱりこの緑のヤツはゴブリンだった。
この魔石が何に使うのかはわからないけど、集めておいて損はないと思う。
なんとか、一匹目は倒す事ができた。
今はとりあえず・・・
「・・・うっぷ」
この吐き気をなんとかしよう。
▽
しばらく吐いて、深呼吸して・・・
なんとか落ち着いてきた。
ゴブリンを倒した事によってレベルが上がっていたので、改めてSPを振った。
◆
カケイ アズサ 16/男 冒険者Lv3 SP0
HP70/70 MP20/20
攻撃:16+3
敏捷:16
耐久:16
知力:16
技力:16+15
【アイテムストレージ】【投擲】【パリィ】
◆
技力31になった所で【パリィ】を覚えた。
練習できないから咄嗟に使うのは怖いけど、盾はあるからヤバい時はやってみよう。
ついでに、ストレージにゴブリンが持っていた短剣も入れておいた。
投擲スキルがあるし、投擲武器として使えると思う。
さて、問題はここからだ。
牢屋の鍵は色々試したけど、中からじゃかけられなかった。
さっきと同じ手段は使えない。
だけど、まだ正面から戦うのは正直怖い。
なので、逆に扉を開けっぱなしにして待つ事にしてみた。
▽
何十分待ったかわからない。
息を潜めてずっと待っていた。
少し疲れて気が抜けてきた時・・・新たな足音が聞こえてきた。
足音の数はまた一匹。
「ギャッ!?」
牢屋が開いている事に気付いたのか、牢屋の中にゴブリンが走ってくる。
・・・馬鹿で助かった。
ここで仲間を呼ばれたらどうしようとか今更ながらに気付いてしまった。
さっきと同じ要領で、死角で剣を構えて待つ。
待って・・・待って・・・
叩き割る!
「ギャアアアアアアアアアアアアア!」
「やべっ・・・うるせえ!」
「ギャッ」
走って牢屋に入られたせいでタイミングがズレて、腕しか切り落とせなかった。
そのせいで、大声で叫ばれてしまった・・・!
咄嗟に二撃目を与えて倒せたけど、かなりまずい。
まだ遠いけど、まとまった足音がこちらに向かっているのが聞こえる。
どうするべきだ・・・!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます