12月6日 副作用

 12月6日、日曜日。晴れ。


 就寝前に飲むてんかんを抑える薬「フィコンパ錠」。おそらくこれのせいで母の幻覚が始まった。

 薬のしおりを読むと、重大な副作用の項目に「易刺激性、攻撃性、不安、怒り、幻覚、幻視、幻聴、妄想、精神症状、せん妄」とある。また、過眠症も副作用に該当するらしい。ふ、副作用多すぎじゃない? 


 9年前に亡くなった祖母の名を叫びながら荒れ始めた。

 写真が見たい、と言うので持っていくと「これじゃないんだよ!」といきなり大声を上げる。しまいにはおれのことも兄のことも誰だかわからなくなってしまったようだ。


 厄介なのが攻撃性。いきなり声を大にして怒鳴る。言っている内容がまた一つもわからない。このまま家で面倒を見れるかどうか不安が芽生える。


 母が意味不明なことを叫んでいるすぐ近くで、父はテレビを見ている。母には一瞥もくれていない。さすがは母が救急隊に運ばれている時に「このうるさい奴らはいつになったら帰るんだ」と兄にこぼしただけのことはある。完全に自分のことしか見えていない。


 たぶん、これからが末期ガン患者在宅介護の本番なのだろう。がんばろう。がんばるしかできないから。


 そんなわけで今後、どんどん日記が短くなる恐れがある。あるですよ。もしかしたら段々漢字が少なくなってきて、最終的に


 かゆい

 うま


 な感じになるかもしれませんが、そうなったら平塚市に自衛隊を派遣してください。

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