11月20日、21日
11月20日、曇のち雨。何日ぶりの雨だろうか。
注文していた有田みかんが届いた。10キロを6箱で3万5千円。
今からこれを転売する、わけではない。お歳暮として発送するのだ。
なぜ有田から直接発送してもらわないかというと、みかん農家のおじいちゃんは90歳越えているので伝票を何枚も書くのが面倒くさいから。一度お願いしたら「めんどうだからいやですわ」と普通に断られた。
こちらの手間が増えるが、その手間を差し引いてもなお、ここのみかんは美味しい。ここ5年くらい毎年お願いしている。
そもそもは同僚、今は取引先となってくれている人のお父さんが経営しているのだが、跡取りがいなくて困っているらしい。相当大変な仕事だろうし、山を管理するのも難しいだろう。収穫時のアルバイトもみんなお年寄りだと聞く。
来年はどうなるのだろうか。送る先はだいたい母の友人。それをなぜおれが支払うのかいまだに理解していないが、そうなっているのだから仕方がない。北海道へのもの含め、送料は9300円!
これ、来年は本当にどうなるのだろうか。
11月21日、土曜日。晴れ。洗濯日和。母の枕を干していて気付いたが、先日の出血がこびりついていた。
病院のコロナ対策が一段と厳しくなった。具体的には「病棟へ入るな。呼んでないのに来るな。病院が呼んだ時は一人で来い。荷物の受け渡しは14時から16時のみ」といったところ。
そうなると難しいのが時間である。火曜日から金曜日、父がデイサービスから戻ってくるのがだいたい16時。その30分前には連絡が来るので家にいなくてはならない。父が一人バカ面さらして鍵のかかった扉の前で立ち尽くしている分には全然一向にこれっぽっちも構わないのだが、それで遅れると他の利用者に迷惑がかかる。
悩んだ末、平日は13時に荷物を届けることにした。もちろん病院へは事情を説明し、了承を得ている。
ただ、最近これが伝わってないケースがよくある。たぶん次の火曜日、13時に行くと看護師から怒られるのである。
片付けよう片付けようとずっと思っている、パソコンの前のサボテン。一度も花を咲かせることなく、おそらくお亡くなりになっている。
水は説明通り一月に一回、日中はなるべく日当たりの良いところに移動させていたが、どうやらダメだったようだ。すまんな、と侘びつつもなかなか片付けられずにいる。
母への手紙を書き終えた。内容としては「周囲が何を言っても、家に帰ろう」といったシンプルなものだ。
周囲というのはなんとかワーカーといったか、退院後のプランを勝手に考えるような、よくわからん仕事をしている人物のことを指す。おそらくまたホスピスに転院させようとするはずだ。
だが、母が家に帰りたいという意思を示す限りは何が何でも家に戻す。向こうはさも理解していますみたいなしたり顔で「けど、家で面倒看るのは大変ですよ」とか言うが、その大変なことをやってきているので指図されるいわれはない。そもそもおれは普段の生活が大変だとは、母にはひとことも言っていない。大変なのは救急車を呼ぶ時だけである。
手紙の最後に、今日から日本シリーズが始まる旨を伝えておいた。「お母さんが応援する大正義巨人軍が、とんこつ集団にボコボコにされる様子をゆっくりとお楽しみください」と書き添え、テレビカードと一緒に渡すことにしよう。
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