糞柱・汚難臭痔瘻、見参
夜寝ていると幻聴が聴こえるようになり、1時30分と3時45分に跳ね起きた。
11月4日、水曜日。晴れ。眠い。
夜中、母には押すとピンポンと鳴るボタンを預けている。うんこをした時はそれを押すとおれの枕元に設置されたピンポン受ける機械がけたたましいピンポン音を立てる。階段を降りて10秒後には参上できるというシステムなのだ。
なお、「押すとピンポン鳴るボタン」でありナースコールではない。なぜならばおれはナースではないからだ。ナースもどきコールならば呼び方としてはありかもしれない。
まずいことに、このピンポン音の幻聴が始まっているのである。覚えている限り前日の2時くらいからではないかと思う。
今朝方は最初にあげた時間にそれぞれ聴こえたような気がした。即座に跳ね起き、階下を覗くと母は穏やかに眠っている。少し離れたところに眠る兄も起きた様子はない。
実際に朝食時、兄に聞くと「起きた気配はない。多分ボタンは押されていない」とのことだった。となるとおれの勘違い、あるいは幻聴ということになる。
幻聴。英語で言うとハルシネイション。おれが東京都知事だったら今日の日記は「幻聴」という言葉を一切使わずハルシネイションのみで押し通す。
ただ、濁音多めのカッコいい単語だったらいいなと思ったが、気の抜けたような音の連続だったので拍子抜けしているところだ。なんかこう、あるだろ。サドゥンリイ・ノーサウンド・ハウリングとかカッコいいのが。
幻聴に関しては東日本大震災の直後も同じような経験をした。一人で上野に取材に行ったきり事務所のある中目黒にも、当然実家のある平塚にも戻れず、国立博物館で一晩過ごさせてもらったのだった。
あの時は大きなテレビから地震を知らせる例の音が一晩中鳴り響き、すっかり心に刻み込まれた。翌日実家に帰り、布団に入ってからも耳の奥で鳴り続けていた。経験済みなのである。
だから詳しい人が「幻聴なんてそんな簡単に聴こえるわけがない」とか言うかもしれないが、実際に夜中跳ね起きるのだから幻聴でいいじゃん、もう。知らねえよ医学的な幻聴の定義なんて。聴こえるわけがないというなら今のおれの生活を体験してもらいたい。
ところで、目下、昨日から母のうんこは出ていない。便秘というにはまだ早い。だが宿便となるとどれほどきつい匂いの中で作業するのだろうか。
気づけばうんこを待ちわびている。誤解を生みやすい言い方であるということは自覚しているが、実際にまだかまだかうんこはまだかと待ちわびているのである。熟成されればされるほどワイルド&タフな収穫になる。一人では捨てきれない
だからうんこを待ちわびているという言葉に偽りはない。誰かのために生きられるなら何も怖くないらしいから、言動を疑われても別にいいのである。
また話は変わる。「鬼滅の刃」を読んでいる最中。流行り物に乗ってみたのだが、確かに面白い。すげえ強い敵である上弦の鬼がなかなか倒されないのでやきもきするが、15巻まで読んでいる現在、必ずカタルシスが用意されている。これも人気の要因だろうか。
敵も強ければ味方も強い。主人公側の陣営に「柱」と呼ばれる人たちがいる。すげえ強い。風柱とか炎柱とか水柱がいる。すげえ強い。それぞれの属性の呼吸(型なのかな?)を使いこなし、すげえ強い上弦の鬼と渡り合う。何しろすげえ強いのね。キャラクターも立ってるし。
すげえ面白い。早速その影響を受ける。自分だとしたら何の柱になるのだろう。やはり糞柱か。
そんな名前だと、どう考えても敵じゃないか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます