一月半ぶりの再会イベント

 毎日なんらかのイベントがある。家に来てくれるヘルパーや訪問看護を指してイベント呼ばわりするのはどうかと思うが、それくらい封鎖的な毎日を送っているとお思い頂きたい。


 月末の今日は大きめのイベントがある。パチンコ屋でも月に一度は出す大型イベントがあったので、今回はそれに該当する類の出血大感謝祭といえる。我が家の前に行列ができていても不思議はない。イベント名は「家屋調査」。内容は約一月半ぶりの両親の再会。


 7月23日、母入院。

 8月6日、父入所。

 8月27日、母退院。

 そして本日8月31日、父の一時帰宅。

 家屋調査という名目で、父が一旦家に帰ってくるのだ、多分15分くらい。


 看護師たちに支えられながら家に帰ってきた父は、終始無言だった。ベッドの上で休んでいる母を見ても表情に変化はない。例によって看護師たちの質問には無視で応じる。

 どういう心情なのかは理解するつもりがないので皆目見当がつかないが、おれが勝手に想像するとこうなる。


「おれの方が重病なのに家で寝てやがる」


 自分でも流石にひねくれているしひどい考えだなあと思うが、これしか想像がつかないのだ。黙っているのだから誤解されても仕方がない。

 それはそうと想像していたよりも本当に何もなかったので、文字数が全然足りない。何やってんだこの野郎、せめて激怒するなり戻らないとわめき出すなりしておれの役に立て。身を張って新鮮なネタを提供しろ。本当にひどい考えしか浮かばないな。


 毎週火曜日は移動式のお風呂が来てくれる。これは良質のイベントだが、書くことは特にない。ただ、相当お高いのだろうと思う。怖いので請求書を見てから青ざめることにする。

 ただ、9月3日は別格。年に一度の全台高設定確定イベント「認定調査」が行われる。市の主催だから鉄板と言っていいだろう。

 これは何かというと、要介護度数の見直しである。8月の頭、入院中に行われた認定調査では要介護度は3だった。しかし、それから徐々に状態が悪くなっていったので病院から見直しが提案されたのだ。考えてみれば入院中よりも悪くなっている状態なのに家にいるというのもおかしな話だが、本人が家に戻りたいと言った以上それは仕方がない。


 現状の大きな問題は2つ。

 一つは母についているバルーン。尿を溜めておくための器具なのだが、正直匂いがきつい。「臭いからスプレーかける」と消臭スプレーをかけたが、匂いは消えない。匂いの元が溜まっているのだから効かないで当たり前。

 もう一つは仕事。内容を送ると言われたのが先週の水曜日。いまだ何も送られてこない。不安になったので催促のメールを送ったが、返答なし。ただ忘れているだけならばいいのだけれど、コロナとか熱中症とかが影響しているとしたら、どのようなお見舞いの言葉を送ればいいのだろうか。「身を張って新鮮なネタを投下していただきありがとうございます」とか送ったら色々終わる。

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