放射線治療、開始
地元の古くて大きい病院から、二つ先の市の新しくて大きい病院で診てもらうことになった母は、まず再びMRIを受けた。最初の大きい病院から何の資料も渡ってないことが判明したからである。そんなことあるか、おい。向こうの医者もなんか困っていたらしい。
「らしい」というあいまいな言い方をする理由は、兄が母を病院に連れて行ってくれたからである。おれはおれで父の面倒を見なければならぬのだ。
脳神経外科へ連れて行く、要介護者の面倒を見る。できればどっちも選びたくない選択肢であるが、そうも言ってられない。
だいたい、もう覚悟はできている。あとは食べたいものを食べてもらい、観たいテレビをいつまでも観ていてもらえれば良いと心の底から思っている。そうすれば何かあった時も悔いはない。
とか言いつつ、兄が持って帰ってきた医療明細書の「脳腫瘍」の文字を見てやはり気が滅入る。もしかしたら、古い病院の機材がポンコツで、虫でも映り込んでいたんじゃないかという淡い期待を打ち砕かれたのであります。
放射線治療は集中して行わなければならないらしく、今日の月曜日から土曜日までぶっ続けで行われる。兄とは交代交代で通うことになる。
そのため、会社を辞めておいて良かったとつくづく思う。ここらへんの判断が正しいのかどうかは、もはや分からない。ただ、今、自分がフツーでないことは分かっているので、多分間違えているのだと思う。
それでも親孝行をしようと決める時間を作れるのは不幸中の幸い。今までなら「なんかめんどくせえ」と思ったことでも頑張れる。愛果桃世さんが書かれていた、さいごにお母さんと話した時の風景を思い返しているということもある。多分ああいうまともなものを読んでいなければ、いまだにおれは忘八者でしかなかったろう。
今後は病院の待ち時間を使って、携帯電話でポチポチ入力するかもしれないので、もし良かったらどうしょうもないグチに付き合っていただけると、なんとなくうれしいです。
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