あのな

 ケアラーという言葉があるらしい。

 どういう定義なのか興味がないので今ひとつピンとこないが、おそらく介護する人のことだろう。それも、仕事を(セミ)リタイアして親の介護をしているような人を指すのだと認識している。

 最初に言ったように、おれはかいものである。うらもの卑怯ひきようもの厄介やつかいものと同じ範疇の中で息苦しく水を飲んでいる卑しいかげものの身分だが、ケアラーとまで呼ばれては黙っている気はない。


 この言葉を考えた奴に言いたい。あのな。


 既存の言葉をわざわざカタカナで置き換え、意味を曖昧なものにして都合の良い再解釈をするのは皆様ご存知帝都知事のフィニッシャーと呼ばれる必殺技、別名なんちゃらという意味のアウフヘーベンであるが、それと同じゲートウェイ、いわゆる匂いを感じる。

 つまり「介護っていうと悲壮感漂うからケアラー」。


 あのな。

 あのな、から始まる説教は、体験上だいたい長くなるもの。しかし今回はその一言で済む。なお、なぜ長くなるかというと、説教する側がほとほと困っちゃってるからである。

 もう、あのな、以外に出てくる言葉がない。考える時間がもったいないというのもあるが、ここはもう、あのなで押し通す。



 テレビとかで流行らせようとしている言葉を意識すると、良くない。大変良くない。どこに良くないかというと、頭に良くない。

 マヨラーという言葉が職場で出始めた時、おれは対抗して


 マヨネーザー


 という言葉を連呼していた。当然精神的な村八分にされるのであるが全く気にならない。そもそもマヨラーと言える人と仲良くなりたくないのであります。友達が少ないので慣れているのであります。


 今となっては大多数の人が自然に使うマヨラーという言葉、もう膾炙しちゃったということなのだろう。だからこの言葉を使うと良くない、とは言っていない。空白を含めて上に8、9、10行ほど戻って頂ければお分かりだろう。意識すると良くないと言ってやがります。


 おれの場合で言えばマヨラーという耳障りの良い、いかにもテレビが流行らせたがってます的な言葉に強く反発し、聞き慣れない変なカタカナを使いだした結果、皆がおれをバカ扱いした。それは正しい。


 ならば今「都市封鎖、いわゆるロックダウン」とか「クラスターと呼ばれる感染者集団」とか言ってる奴もバカ扱いしていいんじゃなかろうか。

 同列に扱っていいものか、いけないものか。間違いなく後者であるが、自分を守るために意地を張る。おれにとっては同じ扱いでアグリーである。意味知らんけど。


 話は変わるが、今、令和2年4月9日。週末は出かけることができない状況が続いている。

 なので、もしかしたら休みの日にお暇した方々が読んでくださるんじゃないかと、淡くて卑しい計画で書き進めているものがあります。第一部で2万字越えました。

 ですが第一部の終わりがすごく後味悪いので、第二部の一話と同時に公開したい。公開したいのだけど、読み返していくうちに「なんかちがう」「これもちがう」と自分で自分にダメ出し連発。

 未公開のうちからエタる(途中で書かなくなることらしい)ことを考えて、にっちもさっちもいかなくなってきた。

 この状態のことを、エタるの語源とされているエターナルからとって


 エターナライザー


 と呼称したいが、どうか。


 あのな、としか言いようがない。

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