なんだその話し方

 電話口でどなるような奴は、もれなくバカである。自分の説明が足りない、もしくは説明できていないということを理解できない、低スペックの持ち主である。

 もう少し言うと、こちらが客側、つまりお店にお願いする立場であるのに偉そうな態度で怒鳴り散らすようなカスは喋るクソ袋に等しい。


「お客様は神様です」という言葉があるが、これは演者やお店など、提供する側が勝手に考えていればいいのであり、サービスを受ける側には関係ない。客側が言葉通りに「おれは偉いから尊敬しろ」と思うのなら、脳みそかそれ以外のところに大きな欠陥(疾患ではない)が見受けられる為、精神科もあるような大きい病院に入院することを強くお勧めする。


 小脳と衝動だけで生きているような虫ケラは、一生siriとかアレクサにだけ話しかけて生命活動を終えるべき地球のゴミなのだ。

 なのでおれは今、部屋の隅っこで黒い物体に向かって


「アレクサ、明日の天気は?」


 など、実にどうでもいいことをつぶやいている。



 〜〜〜〜〜〜〜〜



 午前8時。ケアマネージャーのいる老人ホームへ連絡。徒歩5分の距離だが、父がいつトイレに行くか分からないので電話で済ます。

 現在、火・水・木にお願いしている父のデイサービスを金曜日も利用できないか、の相談をしたかったのである。介護保険の適用からはみ出ると実費、それはそれは大変お高いものになってしまうのだ。

 だが日中、父の面倒を見なくて良いのなら、午後から母の病院へ行ける。今は母の方を優先したい。

 5回ほどのコールのあと、ぶっきらぼうなおばさんの「はい?」という返事があった。


「おはようございます。桑田と申します。ケアマネージャーのTさんはいらっしゃいますか」

「え? Tさん? わかんないですね」


 自分の滑舌が悪くなっているのかもしれない。より短くはっきりと伝えた。


「ケアマネのTさんはいますか」

「わかんないです。事務所じゃないんで」


 おれのアイフォーンには、おたくの事務所の番号しか登録されていないのだが。


「では、どこにかければいいですか。12-3456ではないんですか」

「それじゃないんですか?」

「今そこに電話してるんですが」

「ですから事務所に電話してください」

「これ、事務所ですよね」

「Tさんがいるかどうかじゃないんですか?」

「ケンカ売ってんのかババア」


 思わず怒鳴った。向こうはなんか勝ち誇ったように笑いながら言ってるのだ。


「てめえコラババア。コラ。ババアコラババアコラ。てめえ」


 極端に語彙が減って会話不能に。ただ怒鳴る。ローIQ&低スペック&ノーフューチャーの申し子と成り果てたこの有様をもし女子高生が見たら


「破壊王みえぐすぎ〜www」

「マジZERO-ONE道場で草」

「2003.11.18www コラコラwww」


 とか言ってるはず。「〜み」という使い方が合っているかどうかは知らないが、wwwと草と合わせて今後一生使うことはないのでどうでもいい。

 なお国民的な一般常識ではあるが、万が一「何言ってんだこいつ」とお思いの方は「コラコラ問答」で調べていただきたい。


 で、どうなったかというと、向こうの応対者が替わった。すみません、と平謝りしていたのでこちらとしても聞かざるを得ない。だが、一つだけどうしても言いたいことは言っておいた。


「なんですか、今のババアは。ぶん殴りに行っていいですか」


 説明によると市がどうのこうの枠がどうのこうので、下手な言い方をすると「キャベツだ」「サロベツ川だ」「#MeTooだ」と責められかねないので黙っておく。


 こっちには事情だ何だはどうでもいい。あんな電話対応させるババアをそもそも電話に出さすな。

 どういう条件で雇っているのかは知らないが、カネを払っているのはこっち。すなわち客。イコール神様である。おれを尊敬し、崇め奉る必要があるのではないか。よしちょっと大きい病院行ってきます。

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