第二十八話 島守人の伝承
――煉獄の島 ノーラグベル・フォルエンの街
◇カシュタ
マロンっ……!
おお、マロンっ!!
◇マロン
おじいちゃんっ……!!
◇カシュタ
ばかものが……
だから島を出ろと
言ったじゃろう……
辛い目におうたな……
◇マロン
心配かけて、ごめん……
ごめんなさいっ……
◇カシュタ
うぅっ……
――無事で良かったっ……!!
◇マロン
おじいちゃんもっ……
◇カイ
良かったな……
◇クロナ
うん
◇カシュタ
……カイ殿
孫も、この島も――
すべてを救ってくれて
ありがとう
なんとお礼をしたらよいか……
◇マロン
それならおじいちゃん
カイたちはおじいちゃんに
頼みがあってきたんだよ
◇カシュタ
頼み?
ほう、ワシにできることなら
何でも言ってくだされ
◇カイ
ホントか!?
じゃあ――
********************
数日後――
――煉獄の島 ノーラグベル・ルルの港
◇カイ
お~!
俺たちの船、
ずいぶんきれいになったな!!
◇ノア
この分だと2日か3日には
出港できそうだな
◇カシュタ
ほっほっほ!
ワシの知り合いの中じゃ
とびっきり腕のいい船大工じゃ
仕事も早いですぞ
◇アリア
木のいい香りがしますね
◇カシュタ
木材も最高のものを
用意しましたからな
◇クロナ
なにからなにまで
本当にありがとう
カシュタさん!
◇ノア
しかも、
全てタダにしてくれるとは……
◇カシュタ
なに
島の恩人の頼みじゃ
お安い御用じゃよ
それにしても――
修繕に取り掛かる前の状態から
察するにずいぶん厳しい旅を
しておられるようじゃ
マキナハンターと言っていたが
ただ宝探しの冒険をしている
というわけではなさそうじゃな
◇カイ
そうだ
カシュタさんに
聞きたいことがあったんだ
◇カシュタ
聞きたいこと?
◇カイ
家に飾ってあった絵巻物と
その斧に掘られた紋章――
それはなにを意味するんだ?
◇カシュタ
わからぬ
◇ノア
わからない……?
◇カシュタ
前にも言った
ワシらに『島守人』としての
使命を与えた『一族』――
この紋章は
その『一族』のものと
言われておるが……
はて、その一族とやらが
何者なのか……
わかっておるのは、
おとぎ話じみた伝承のみじゃよ
◇ノア
伝承……聞かせてくれないか?
◇カシュタ
ん?
構わぬよ
『紅天より女神が再臨し
方舟を紡ぎし一の賢者に
大いなる力を与えん』
『契の鐘を八度鳴らし
ついに深淵の王を滅ぼすべし』
◇カイ
『深淵の王』!?
◇ノア
…………
◇カシュタ
この伝承は
『古代アルカディア』時代から
伝わる『終末伝承』じゃ
ワシにはもう
とんと意味がわからんがな
◇クロナ
『深淵の王』って
ウィルゲンが言ってた
『深淵の魔王』のことだよね?
◇ノア
『女神の再臨』『方舟』
『一の賢者』
『契約の鐘を八度鳴らす』――
◇カイ
『契約の鐘を鳴らす』……
どこかで聞いたような――
ノア!
◇ノア
兄さん……僕も思い出した
ブレスガーデンで
父さんが去り際に言っていた――
「鐘を鳴らさねば」と
◇カイ
父さんの言っていた『鐘』って
『契約の鐘』のことなのか……?
◇ノア
ウィルゲンの言葉からも符合する
その可能性は高い
しかし……
◇カイ
『契約の鐘』って一体なんだ?
◇クロナ
ねえ
あの時、おじさん――
「『アーク』を手に入れる」……
とかなんとか言ってたよね?
◇ノア
『アーク』……
◇カイ
カシュタさん、
『アーク』っって言葉に
聞き覚えは?
◇カシュタ
さあ、聞いたこともないのう
◇カイ
そうか……
◇アリア
『アーク』……
『アーク』……
『鳴らせ、鳴らせ、
鐘を、鳴らせ』――
◇ノア
!?
◇クロナ
あ、アリア……?
◇アリア
『アークを鳴らせ、呼び覚ませ
目覚めの時だ、アークを鳴らせ』
『八つの契約、八つの欠片
八度の点鐘、八人で鳴らせ』
『響け、響け、アークよ、響け
天より高き紅天へ
地よりも深き深淵へ』――
◇ノア
アリア!
なんだ、それは……!
◇クロナ
わらべ歌……?
◇アリア
わ、わかりません……!
でも、今――
『アーク』という言葉聞いて、
ふと、頭の中に
浮かんできたんです
私は――
『アーク』探さないといけません
◇クロナ
もしかして、その『アーク』が
アリアの失われた記憶を
取り戻す鍵……?
◇アリア
そんな、気がします
◇カイ
……銀髪の剣士が
言っていたことを思い出した
アリアのことを『最後の希望』と
◇アリア
私が『最後の希望』……?
◇カイ
アークを探そう
父さんも、
アークを追い求めてる
アークを探すことで
父さんにも再び会うことができる
きちんと聞くんだ
父さんに
すべて、を
◇クロナ
決まりだね
◇ノア
ああ
◇カイ
そして、取り戻そう
アリアの記憶を
◇アリア
カイさん――
はいっ!
◇カイ
うん
(父さん……
必ずまた見つけ出す)
To Be Continued……
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