第二十話 大佐の大義

◇カイ

世界を救う……?


◇ノア

どういうことですか?


島の遺跡を調べて

噴火を止めるのでは?


◇ウィルゲン

遺跡には行く

しかし――


それがこの島を

救うことになるとは限らない


◇クロナ

どういうこと!?


◇ウィルゲン

お前たちは見た……

いや、出会ったはずだ

『魔徒』と


◇カイ

魔徒……?


◇ウィルゲン

あの、蒼穹に穿たれた穴より

現れし、異形の魔物――


◇カイ


◇クロナ

それって――


◇ノア

あの、怪物のことか……!!


◇ウィルゲン

ふむ……


先程は『極秘事項』と言ったが

特別にお前たちには

教えてやろう――


その異形の怪物の名は『魔徒』

深淵よりいづる悪魔――


かつて、この地に栄華を極めた

古代帝国――


『アルカディア』を滅亡させた

伝説の魔物だ


◇ノア

アルカディアだって!?


◇クロナ

それっておとぎ話に出てくる

夢の国……?


◇ウィルゲン

そうだ


市井の人々は『おとぎ話』の

一説に出てくる魔物と

認識している


しかし、あれは紛れもなく

存在する


既に、一体の『魔徒』が

島ひとつ壊滅させたとの

報告も受けている


◇カイ

!!


◇ノア

では――

ブレスガーデンを壊滅させ

オルティスに大津波を


◇ウィルゲン

やもしれん


◇カイ

…………じゃあ

あの銀髪の剣士は――


◇クロナ

大佐!

『魔徒』はこれからも

まだやってくるの……?


◇ウィルゲン

ああ

間違いない


これより先、

世界は『魔徒』の驚異に

さらされることとなった


だが――

それよりも、

もっと恐ろしいことが起こる


◇カイ

もっと……


◇ノア

恐ろしいこと……?


◇ウィルゲン

『魔徒』らの王――

『深淵の魔王』の降臨だ


◇カイ

!!??


◇ノア

深淵の……魔王……!?


◇ウィルゲン

もしも『深淵の魔王』が

降臨すれば

この世界に未来はない――


『世界の終焉』を

迎えることとなる


◇カイ

世界の終焉……


◇ウィルゲン

そうだ

そうなる前に

対策を打たねばならん


◇ノア

対策があるのですか……?


◇ウィルゲン

ある

俺は、

そのためにこの島に来たんだ


◇クロナ

どういうこと……?


◇ウィルゲン

アグニボロス遺跡には

『魔徒』に対抗しうる

ある『機能』が備わっている


それを使えば

『魔徒』の侵攻を止める

強大な力となるはずだ


前回はしくじったが

次こそは、必ず――


◇カイ

……待ってくれ


前回はしくじったって言ったな

もしかして、

この火山の噴火は――


◇ウィルゲン

…………


◇クロナ

ウィルゲン大佐が

わざとやったってこと……?


◇ウィルゲン

――そうだ


◇カイ

……大佐!!!!


◇ウィルゲン

多くの命――この世界全てを

救うためだ

犠牲は出る


どちらにせよ『魔徒』との戦いで

多くの命が犠牲となるだろう


その先を見据えねばならん


世界を『復興』に導ける者たちを

生かすことを――


◇カイ

なら!

この島の人達はどうなる!?


今、生きている人たちは

どうなるんだ!?


◇ウィルゲン

何度も言わせるな

犠牲は出る


大局を見ろ、

◇カイ


◇マロン

ふざけるなよ――


◇クロナ

マロン!?


◇マロン

アランに説得されて

戻ってきたら――


ボクたちは

世界の未来のための

犠牲になれって……?


◇アラン

ま、マロンさん!

落ち着いてください!!


◇マロン

これが落ち着いてられるか!!

ふざけるなよ!

うわあああーーーー!!


◇ノア

よせ、マロン!!


◇ウィルゲン

少女よ――


俺の大義の前に

おまえの個人的感情の

刃など届かん


◇マロン

くっ……!?

もう一度――!!


◇カイ

よせ、マロン!


相手は帝国の英雄……

今の俺達じゃ、叶わない


◇マロン

うぅっ……


◇ウィルゲン

おまえたち全員

出ていくがいい


ここでのことは

不問に付す


◇クロナ

行こう、みんな……


◇カイ

……大佐

俺たちはあんたのことを

恩人だと思っている


だが、あんたの考えに

賛同することは出来ない


◇ウィルゲン

失望はしていない

おまえたちなら理解できる

いつか必ず――


カイ、ノア――

期待している


◇カイ

勝手にしろっ……!


◇ノア

…………


んっ……?


あれは――


◇アリア

ノアさん……?


◇ノア

大佐

辞する前に

ひとつお聞きしたいことが


◇ウィルゲン

なんだ?


◇ノア

マロンのおじいさんが

ここに来ていると思うのですが

知りませんか?


◇ウィルゲン

いや……

知らんな


◇ノア

……そうですか

では――



To Be Continued……

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