第十九話 決裂
◇ウィルゲン
――あの空の穴
デイヴィの仕業だというのか……
◇カイ
ああ……
そうだ
◇ウィルゲン
ううむ……
にわかには信じられんが……
◇カイ
俺たちは見た
眼の前で、父さんが――
◇ノア
大佐、
僕らも信じたくはありません
ですが――
◇クロナ
確かに、
あれはデイヴィおじさんでした
◇ウィルゲン
……そうか
やはり、あれは
デイヴィだったのか
◇カイ
やはり……?
◇ウィルゲン
ブレスガーデンの入り口には
画像を記録するマキナが
設置されている
そこには、衛兵を務めていた
遺跡管理室の隊員を
殺めるひとりの男が写っていた
それは、
俺の見覚えのある男だった
◇カイ
…………
◇ウィルゲン
そして、その後
数分の時を経て
写っていたのは――
◇ノア
僕たち――ですか
◇ウィルゲン
うむ……
◇カイ
大佐……
父さんは、
どうしてあんなことを――
◇ウィルゲン
わからん
だが――
デイヴィが開いたのは
世界を『深淵』へと導く
禁断の扉だ
◇カイ
……!?
◇ノア
「世界を『深淵』へと導く
禁断の扉」――!?
◇カイ
大佐!
どういうことだ!?
◇ウィルゲン
詳しいことは言えん
このことは帝国としても
『第一級極秘事項』の値する
◇クロナ
大佐……
おじさんはどうなるの……?
◇ウィルゲン
…………
◇カイ
大佐!
◇ウィルゲン
残念だが
グランドクラスのライセンスを
剥奪――
これより
『S級重罪人』として
その行方を捜さねばならん
◇クロナ
そんなっ……
◇ウィルゲン
しかし、帝国民への影響を考慮し
発表は遅らせる
極秘裏に事を進める
◇カイ
ちょっとまってくれ大佐!
きっと何かの間違いだ!
父さんは必ず
俺たちが見つけ出して
真実を聞き出す!
だから――
◇ウィルゲン
カイよ
お前たちが証言したのだぞ
「やったのはデイヴィ」だと
◇カイ
!?
◇クロナ
だけど!
きっと何か事情が――
◇ウィルゲン
事情は俺が聞き出す
◇カイ
大佐は――
大佐は父さんの
友達じゃなかったのかよ!?
父さんを信じてくれないのか!?
◇ウィルゲン
確かにデイヴィとは友人だ
だからこそ、
俺の手で必ずヤツを捕らえる
信じたくとも
マキナの画像という
動かぬ証拠がある
◇カイ
くっ……
わかった
俺たちは俺たちで
父さんを探す!
もう、大佐には頼らない!
◇ノア
兄さん!?
◇クロナ
カイ、でも――
◇ウィルゲン
カイよ、そうはいかん
◇カイ
?
◇ウィルゲン
お前たちはすべてを見ていた
最重要目撃者だ
さらに――
許可なくブレスガーデンに
立ち入った
マキナハンター法違反の罪がある
これより勝手に行動することは
許さん
◇カイ
!?
◇ウィルゲン
今後は、
俺とともに行動してもらう
いいな
◇カイ
いやだ――
友人でありながら父さんのことを
信用せず犯罪者扱いする
あんたとは、一緒にいられない!
◇ウィルゲン
……いいのか
俺に背くということは
帝国に背くということだぞ
◇ノア
!?
◇カイ
かまうものか!
◇ノア
兄さん!
◇カイ
俺たちはマキナハンターだ
マキナハンターは――
自由だ
◇ウィルゲン
……デイヴィの言葉か
◇カイ
…………
◇ウィルゲン
…………
いいだろう
◇カイ
!?
◇ウィルゲン
俺は今もお前たちのことを
気に入っている
お前たちについては不問にふそう
その上で、
お前たち、俺に力を貸せ
アグニボロス遺跡に行く
◇カイ
この島を救うのか
◇ウィルゲン
いや――
世界を救う
◇カイ
!?
To Be Continued……
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