第十六話 安息のひと時

――フォルエン南の森・マロンの家


◇マロン

――そっか

それでカイたちは

おじいちゃんを訪ねてきたんだね


大丈夫!


おじいちゃんなら

きっと腕利きの船大工を

紹介してくれるよ!


もちろん、

木材も最高のものを

用意してくれるし!


◇カイ

ああ

助かるよ


◇マロン

でも、ビックリしたよ~

カイたちのお父さんが

あのデイヴィ・ロストマンなんて


ボクだって知ってるよ!

伝説のマキナハンター

『デイヴィ・ロストマン』!


お父さんを超える

マキナハンターになるの

すごい大変そうだね~


◇カイ

そう、だな……


◇マロン

さあ!

ご飯できたよ~


◇クロナ

わ!

美味しそう!!


◇アリア

マロンさん

ありがとうございます


◇マロン

いやいや

さあ、召し上がれ~


◇カイ

いっただきます!


◇ノア

いただきます


◇カイ

んっ――!


◇ノア

これは……


◇クロナ

美味し~!!!!


◇アリア

本当に美味しいです

マロンさん!


◇マロン

良かった~

お口にあって

なによりだよ~


◇ノア

ああ

素朴な味付けながら

素材の良さが活かされている


◇カイ

おかわり!


◇マロン

早っ!?


あははっ!

そんなに気に入ってくれたんだ


まだまだいっぱいあるから

たくさん食べてね!



********************



◇カイ

ふぅ~

食べた食べた~

ごちそうさま~


◇ノア

ごちそうさま

本当に美味しかった

ありがとう、マロン


◇クロナ

片付け、手伝うよ!


◇アリア

あ、私もお手伝いします!


◇マロン

ありがとう!



********************



◇マロン

こっちこそ

久しぶりに大勢で食事したから

楽しかったよ~


◇アリア

マロンさんは

ここでおじいさんと

ふたりで暮らしてるんですか?


◇マロン

うん

そうだよ


お父さんとお母さんが

他の島に出稼ぎに行ってるんだ


◇クロナ

寂しくない……?


◇マロン

ううん、寂しくはないよ

おじいちゃんがいるし


お父さんたちにも

会えないわけじゃない


それに、森の木々や動物たちが

いてくれるしね


この森は子供の頃からの遊び場で

友達なんだ


◇アリア

素敵です!

森が友達なんて!


◇マロン

うん……

でもね、この前の噴火で

沢山の木が焼けちゃったんだ……


◇クロナ

マロン……


◇マロン

それにアグニボロス火山が

噴火する前から

島全体がなんかおかしいんだよ


◇カイ

なにがおかしいんだ?


◇マロン

動物も木もなんだか弱っていって

死んじゃったり

ワーグになったり……


おじいちゃんは

「マナの均衡が崩れてる」って

言ってた


それが例え自然の流れで……

噴火の前兆だったとしても

やっぱり、悲しいな


◇クロナ

マロン!


◇マロン

な、なに……?

抱っこ?


◇クロナ

大丈夫だよ!

森は、島はきっと生き返る!


◇マロン

う、うん……

急にどうしたの?


◇クロナ

だって!

大切な場所がなくなっちゃうって

とっても辛いと思う!


◇マロン

……ありがとう

クロナは、優しいんだね!


◇カイ

マロン、島の異変は遺跡に

原因がある可能性があるんだ


今、フォルエンの街に来ている

遺跡管理室のウィルゲン大佐が

解決しようとしてる


俺たちは大佐に協力するつもりだ


きっと、大佐と俺たちが

島の異変を解決してみせるよ!


◇マロン

カイも、ありがとう……


――ねえ


◇クロナ

ん?


◇マロン

ボクも一緒に行っちゃダメかな?


◇クロナ

え?


◇マロン

ボクも島のために

なにかしたいんだ!


街に行ったおじいちゃんのことも

心配だし……


ね!

いいでしょ!?


◇クロナ

うーん……

カイ、どうする?


◇カイ

いいんじゃないか?

マロンがいてくれれば

心強いし


◇マロン

ホント!?


◇カイ

ああ

これ、マロンの斧だろ?


◇マロン

うん

そうだけど?


◇カイ

この大きな斧を扱えるなら

きっと大丈夫だろ


◇アリア

でも、本当に大きな斧ですね

マロンさんって

力持ちさんなんですね~


◇マロン

子供の頃から鍛えてるからね!

力には自信があるよ!


アリア、

その斧ちょっと持ってみる?


◇アリア

ええ?

私には、ちょっと無理かなぁ……

あははっ……


◇クロナ

うん……

よっと


◇マロン

わ!

クロナっ!?


◇クロナ

ふふーん!

私だって力には自信が

あるもんね~


◇ノア

はぁ……

一体なにを

張り合ってるんだ……


うん……

見事な斧だな

名工の作か?


◇マロン

ううん、

これはおじいちゃんが

作ってくれたんだよ


おじいちゃんとお揃いなんだ!


◇ノア

ほう……

見事なものだ


ん?


うっすら紋章のようなものが

掘ってあるな……


◇マロン

ああ、それは……

ほら、そこに飾ってある

絵巻物の模様だよ


◇カイ

これ、なんの絵なんだ?


◇マロン

さあ?

大昔の伝承とか伝説を

描いたものらしいよ


◇ノア

この紋章……どこかで


◇クロナ

あれ?


これ、ブレスガーデンの

入り口にあった紋章に

似てない?


◇カイ

あ、本当だ


◇ノア

……どういうことだ……

ブレスガーデンにあった紋章が

どうして――


◇ノア

兄さん、

マロンのおじいさんには

いろいろ聞きたいことがある


◇カイ

ああ、そうだな……

うん


今日はもう休んで

明日、フォルエンの街に急ごう!



To Be Continued……

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