窮地
オレは学園に到着する。
門の近くには警備員が倒れていた。
どうやら誰かが侵入したようだ。
足止めの奴が言っていたとおりのようだな。
それにしても目的はなんだ?
学園を襲撃してなにか得るものがあるとは思えないが…。
オレは急いで教室に向かう。
教室を開けるとオレは驚愕した。
ドアの目の前に血の中に倒れるクシェルとオリビアを見つけたからだ。
「クシェルっ!オリビアっ!」
オレは急いで2人の側に寄り添い《
「……………ガ………ゼル………」
オリビアが声をふり絞って話しかけてくる。
「喋るな、じっとしてろ」
それでも最後の力で話しかけてきた。
「………セレ……ス……が……っ」
「セレスがどうかしたのか?」
オリビアはそのまま気を失ってしまった。
恐らく失血しすぎて気を失っただけだろう。
クシェルもひどい失血だが《
命に別状はなさそうだ。
オレは2人をそっと寝かしておくと、《
……いた、特別塔の方に立っているのが2人と座って後ろで手を繋がれているのが1人。
恐らくセレスだろう。
他のクラスメイトたちは、教室の中で《
こいつらはここにいれば安全だろう。
早く敵を倒してセレスを助けなければ。
オレは急いで特別塔に向かった。
「待っていたぞ、ガゼル・レイヴァルド」
特別塔の一室に入ると、長髪の男がそう口にした。
「へぇ、よく逃げずに来たな。感心感心っ」
短髪の方が馬鹿にしたように拍手してくる。
「ガゼルっ」
足元には、セレスが座らされている。
その周りには、セレスを囲むように魔法陣が展開されている。
オレは眼を凝らし、魔法術式を観察する。
恐らく条件起動術式だろう。セレスが魔法陣から出た場合と魔法陣を《
……完全に人質だな。
魔力の痕跡から短髪の方が魔法を行使しているのが分かる。
「お前ら何者だ?なんで学園を、セレスを狙う?」
今は、話しを続けて時間を稼ぎ隙を見つける。
すると長髪の方がニヤッと不敵に笑い話しかけてきた。
「このセレス・アルデモンドっていうガキはな、特殊な魔法素質を持ってるんだ。普通に見れば魔法もロクに使えないただのガキだが、その
セレスを研究してその能力を手に入れようというわけか。
確かに《
それにしても、ペラペラとよく話してくれたもんだ。
「おいお前、横を見てみろよ」
そう促すと、長髪の男が横にいる短髪の男の方を向く。
すると、短髪の男の輪郭がぼやけて霧のようになり、消えていった。
後には、血だらけで地に伏している短髪の男の死体があった。
「なっ…………いつの間にっ!?」
驚愕をあらわにしている男に向かってオレは淡々と口にする。
「この部屋に入った瞬間に、お前に《
セレスを逃がすことも、《
そのために《
「セレスっ、《
セレスが《
「さぁ、仲間も人質も一瞬でいなくなったぞ。立場が逆転だな。後はお前を片付けるだけだ」
オレは臨戦体勢を整え剣で男に斬りかかる。
ーーーーー直後、鮮血が散る。
しかし、敵の血ではなかった。
よく見ると、自分の身体から剣が生えている。否、刺さっていた。
「ぐはっ…………………………っ」
オレは腹を抱え込み膝をついた。
長髪の男がオレを見下して吐き捨てるように言った。
「言ったはずだ、俺
オレは背後を見て驚愕した。
「ど……うし……て、
そこにいたのは血だらけの剣を持ったセレスだった。
「ごめんね、ガゼル」
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