月の雫

はねうさぎ

月の雫

ほの暗い、乾いた土の上


この月には 僕と子猫のニーのただ二人だけ。


僕を見上げる子猫のニー、 


その子をそっと抱き上げ 僕は翼を広げる。


トンっとその無機質な土を蹴り、僕はゆっくり舞い上がる。



風さえ湧かぬ空間を滑空する僕と子猫のニー、


空上には星が瞬き光っている。


その輝き浴びながら、大きく翼を羽ばたかせる。


思考を止めた地球が沈黙する。


自由とは何? 喜びとは何?


愛しさとは何? 美しさとは何?


失ったものの大きさを噛み締め 僕は涙を流す。


だがそれは地表に届く事も無く、悲しみの中に霧散する。


人とは何なの? 命とは何なの?


応えてくれる人はいない。



僕はただ、その暗い空間に延びる、ただ一筋の光を目指す。


愛しき人の手を取る為に。


愛しき人の胸に飛び込む為に。




   とても会いたかったんだよ

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月の雫 はねうさぎ @hane-usagi

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