第3話 明るい夜 2
「よっ。」
コンビニ袋のカサカサ音を響かせながら、私の住む家の前から駆け寄ってくる。真っ黒な服装にとても小さな顔には大きな帽子が乗っかっている。
「おまたせ。」
そそくさと鍵を開け、2人で中に入る。
入った瞬間にいつものように買ってきたものを冷蔵庫に入れる輝樹。今日さ〜とその日にあったことの話を何気なくしている。私はそれに頷きながらアウターをハンガーにかける。
「おつかれ。」
そう言いながら、輝樹は私と自分の前にビールを置く。いつもの銘柄だ。
「ありがと。」
これでいいのかなって思う気持ちと、失いたくない気持ち。この時間の私はいつも物憂げだ。
私たちはとっくに別れていた。けれど私たちの生活が交わらなくなることはなかった。愛すべき人としては保たれなかった関係を、幼馴染として保っている。それがいいとは思わない。けれど、それでもいいから一緒にいてほしいと思い続けてしまうほどに、彼は魅力的だ。私だけのものな時間がまだ存在している優越感と彼の魅力から抜け出すことができない。
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