第11話 ※
本作品は一部性的描写が含まれている可能性がございます。
すみません。
今回は少し背後を気にしつつ閲覧していただきますようお願いします。
バスとか電車とか家族の前とかはやめてくださいまし。
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2020.3.23
過激すぎたためカクヨムから書き直しとのことで第一修正版になります。
カクヨム編集者様、だめな場合また書き直しさせていただきますので
ご連絡下さい。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
地獄のような長い時間が、やっと終わって毅は隣で寝息を立てている。
こんな所すぐにでも出て行きたかったが、ドアの鍵は開かない。
精神的にも肉体的にもボロボロでとても動ける状態じゃなくて、その日はそのままラブホに一晩泊まる事になってしまった。
一睡もできず、朝を迎えた。
俺の冷えた心とは反対に毅はご機嫌だった。
頭が少し痛いが、酔もさめている。
ホテルからようやく外に出られた俺はすぐに別れの言葉を言った。
「俺は………お前とは別れたい。」
毅は告白のときよりも素早く道路に膝をついて土下座をはじめた。
「いやだ、俺は別れたくない。初めてなんだ。こんなに我を忘れるほど好きになるなんてお前しかいないんだ。」
「……俺はもう…む……」
言いたいことを言って、部屋から開放されたことの安心感で、ギリギリだった心は意識を手放した。
気がついた時には、毅のマンションのベッドの上に寝かされていた。
「急に気絶するから驚いたんだぜ。その状態じゃ危ないから俺がついててやるよ。」
「いやっ!!嫌だっ!!家にかえしてくれっ!!」
あんな事があって別れるって言ったんだぞ。
またここで監禁されるのなんて嫌だっ!!!
「家に返してもいいけどお前何も出来ないだろ。ちゃんと大学に連れて行ってやるから大丈夫だ。」
お前のいる大学になんかいられるわけないだろうと無言で睨みつけた。
毅の部屋に閉じ込められる事無く、大学に行けてホッとした。ただ例のショックのせいなのか熱はないものの、倦怠感で足取りがおぼつかない。転倒してしまいそうになると毅が俺を支えた。
それからというもの毅は毎日の大学の送り迎えと身の回りの世話をしてくれた。
そして自分がどれだけ愛しているかを聞かせるのも忘れない。
戻る場所は俺の家ではなく毅のマンションだ。
部屋にいるときは「頼むっ、愛しているんだ。別れないでくれ。」の言葉と共に土下座してくる。
必死な姿にほだされて、結局毅と付き合うことになった。
悦びを得るようになったのは、初めての時から一カ月も過ぎた後だった。
* * * * * * * * * * * * * * * *
「…付き合って下さい………か……」
中島は自分に言い聞かせる様に考え込んで呟いている。
「先生もその人の事、好きで両想いだったんですか?」
「俺の事はもう良いだろ!とりあえず俺がお前に言える事は頑張って告白すること!あ、恋愛も良いけど勉強を優先にしろよ。」
「…はい。」
中島は自信なさそうに俯いたままだ。
生徒に偉そうに恋愛相談なんて場合じゃない。
自分の恋人の事だって捕まえておくのも大変なのに……。
中島が席に戻り参考書を手にした所でドアがノックされた。
「失礼します。」
部長が美術準備室に来た。
「どうしたんだ?いつもより随分早いな。」
「今日は衣装の打ち合わせだけだったんです。これから皆で生地を買い出しに行くので早めに終わらせたました。先生、鍵、有難うございました。」
部長が中島の傍を通った時に急に立ち止った。
「中島先輩、前からお聞きしようと思っていたんですけど、これグレープフルーツの香りですか?」
「いや、シトラスだけど…変かな。」
「いいえ、とてもいい香りなので、どこのメーカーですか?」
へえ、この香りがシトラスなのか。名前はなんとなく知っていたけど香りと合致していなかった。この香りは中島に良く合う。
部長は中島と香りの話を少した後すぐに出て行った。
「それじゃあ、俺も帰ります。」
中島も部長を追うように鞄に参考書を詰めて帰り支度を始めた。
そう言えば中島は勉強を全くしていなかったな。
………!…………そうか!
中島の好きな女の子は部長なのか!
だからここにいたいって言って来たのか。
今日、一緒に帰って告白するつもりなんだな。
告白するって勇気がいるもんな~。
まさに青春って感じだな。
「先生、さようなら。」
「おう、お前も頑張れよ!報告まっているぞ。」
「………はい…」
中島は元気なく答えるとドアを閉めて行った。
あの沈んでいる様子じゃ、告白はまだ先になりそうだな。
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