七日目

 彼女たちを迎えて一週間経過した。現在、得体の知れない小さな生物と同居していることになるのだが、一週間も見ているとなんだかこのおかしな状況に慣れてきている自分がいる。二体はというと、変わらず私に警戒心をもっているようだが、同時に関心を持っているようでもある。こちらが観察しているのと同様に、彼女たちも私を観察しているのだろう。


 さて、本日は昨日記したように、水槽に仕切り版を入れ、彼女たちを離して過ごさせてみることにする。餌や水などは個体数分用意し、現在過ごしている水槽を中心で板を用いて仕切り、双方が直接触れ合えない環境をつくっていく。水槽内に二体を入れたまま作業を行うことは、安全を損なう可能性があるため、一度別の場所に待機させてから、環境が整い次第水槽内へ戻していくこととする。今回用いる仕切り版は二種類。一つはベニヤ板、もう一つは樹脂製の透明版である。

 まず、ベニヤ板から使用していく。仕切りを入れた水槽に二体をそれぞれ離して入れた。B-01はベニヤ板の方を見てじっとしている。動こうとする様子はない。一方、B-02は水槽内を動き回っている。B-01を探しているのだろうか。ベニヤ板に近づくと、両腕で板を叩き始めた。これは片方のみを取り出した際、水槽内に残された方が行う行動と似ている。B-01は音に気付いたようで、板の方に近づいていった。B-02が居るあたりまで移動すると、B-01は板を前にして座った。B-01が移動する前に座っていた箇所には排泄の跡があった。引き離したショックにより粗相してしまったのだろうか。B-01は比較的落ち着いて見えるが、B-02はベニヤ板を叩き続けている。十五分程度放置していたがずっと続いており、これ以上続けると怪我につながる可能性があるため、中止としベニヤ板を撤去した。

 B-02に怪我がないことを確認したため観察を続けていく。次に樹脂版を用いて仕切りをした。先ほどとは違い板が透明であるため、二体は板で隔たれているが互いを視認することができる。二体は水槽に入れてすぐ板の方へ向かい、板を隔ててぴったりくっついた。時折B-02はB-01を見ながら樹脂版を舐めている。グルーミングをしようとしているのだろうか。一時間ほどそのまま観察を続けたが、二体はその場から動かなかった。

 樹脂版越しに寄り添う姿を見て、少し可哀想に思ってしまった。二体が寄り添っているのは、コミュニケーション的な意味合いが大きいのだろうか。

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