三日目

 排泄物の処理が結構面倒だということに気が付いた。

 今のところ、環境は外装が段ボール箱、中には餌と水の容器、寒さ対策のタオルのみ。段ボール箱は軽く便利なのだが、排泄物やこぼれた水などで汚れると、材質が紙であるためすぐにダメになる。どうしたものかと考えていたところ、隣室の先輩から水槽をもらった。幸い小動物用の紙製の床材にあまりがあったので、それを底面に敷き詰め、少女たちを段ボール箱から移し替えることにする。

 段ボール箱の底面を見ると、どうやら排泄の場所は一定らしいことがわかった。二体とも段ボール箱では同じ場所を使用していたようだ。トイレ用の容器を置けば、それを使うのだろうか。本日からトイレ用の容器も入れておくことにしよう。


 昨日の観察の際、B-01は私の操作ミスから嘔吐したが、現在は調子が戻ったようで特に変わった様子はない。B-02のほうは、私を視界に入れるとB-01の前に立ち、私に対して警戒しているような様子を見せる。これが威嚇行動なのだろうか。今のところ、鳴き声は耳にしてはいないが、壁を叩くなど音を鳴らすことはある。威嚇に際し、ほかに行動を見せるかもしれない。昨日取り出した際には、手足をばたつかせて抵抗する動きはあったが、噛みついたりひっかいたりといったことはしなかった。見たところ、攻撃に使えそうなほど鋭い爪や牙を持っていなかったので、あまり攻撃的な生物ではないのかもしれない。しかし、自らの身を守る際はどうするのだろうか。攻撃の手段を持たないのであれば、自然界で生きていくには困難だろう。彼女たちは愛玩用につくられた生物である可能性も考えられる。彼女たちをどう手に入れたのか、彼女たちは何なのか、これを所有していた友人へメッセージを送ったが、今のところ返事がない。観察していくうちに何かわかるかもしれないので、今後も詳細を記録していこう。

 

 水槽に移し替えた少女たちは、ふかふかの床材の上を、感触を確かめるように踏み移動している。なにやら少々歩きにくそうにしている。あの床材はまとめて捨てればよいので掃除が楽になるので、早々に慣れてほしいものだ。

 二体はほとんどの時間を寄り添って過ごす。餌を食べる際も、眠る際もぴったりくっついている。彼女たちが入れられていた段ボール箱に「少女のつがい」とラベルが付いていたが、つがいというのは、雌雄の二つを一組とするものを指すのではないだろうか。少女同士だから「少女のつがい」としたのか、詳細は未だ不明である。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る