二日目

 一日目である昨日は、そのまま放って寝るのも可哀想だと思い、食事とタオルを与えた。

 彼女たちが何を食べるのか、いまいち分からなかった。きっと、私たちと似た姿をしているから、同じようなものを食べるのかもしれない。そう考えて、彼女たちが手に持てそうな大きさに砕いたビスケットと、水道水をそれぞれ器にいれて、箱の中に置いた。入れてすぐ食べる様子はなかったが、きっとそのうち食べるだろう。寒がるといけないと思いタオルも入れた。気に入ってくれると良いのだが。


 今朝確認したところ、昨日入れた餌は少し手が付けられていたようだった。

 本日は、彼女たちの見た目を観察していく。

 二体は、箱に手を入れると隅へ逃げるように走っていったが、手前側にいる一体を掴み、箱から取り出してみた。片方だけを出すと、箱に残っているもう片方が暴れている。少し可哀想な気がしてきた。逃げ出して机から落ちたり、わたしが踏みつけたりしてしまっては、怪我どころでは済まないだろう。したがって、重さと大きさを測るのは、安全を考慮して一体ずつ行うことにする。どちらも全長は十五センチ程度、重さは三十八グラム。外形は人間と本当によく似ている。体のつくりもおおよそ同じようなものであると推測される。手に持っている間、手足を動かして暴れていたため、確認が少し難しかったが、外性器の形からも見て取れるように、ラベルの通り「少女」であることがわかった。まじまじと見てしまったが、同性だからということで許してもらいたい。

 全長十五センチは、思っているより小さく感じる。片手に握ると脚や腕、頭が手からはみ出るくらい。こうして握ってみると、ふにふにと柔らかく触り心地がよい。ついついいじっていたくなる。思っていたより柔らかかった腹を、下から上へ親指で押し上げたところ、口と思しき場所から何かが出てきた。胃の内容物だろうか。腹を触り始めてから、すこし運動が緩慢になってきたようだ。排出されたものをふき取り箱に戻したが、箱から出す前のように走ることはなかった。

 もう一体も確認していく。先の個体とは違い、手にとっても暴れることはなかった。しかし、じっとこちらを睨んでいるようなきがする。もしかして、先に出した個体へ私がひどいことをしたと怒っているのだろうか。こちらの個体は、もう一方と比べてすこし明るい色の頭髪である。


 二体の差異は頭髪の色と手にもった際の反応くらいだった。今後は識別できるよう、それぞれB-01、B-02と呼ぶことにする。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る