第12話 免許講習
その後数件のマリーナを回ってみたものの希望にあうような船と出会うことはできなかった。つまりボートとうんこの関係も解消しないままであった。現場も忙しく私は祈るような気持ちで日々を過ごしていた。
数日後、第一日目の船舶免許の講習が行われた。講習内容はごく簡単なもので丸暗記してしまえばよい常識的なものばかりであった。幼い頃から趣味で書いていた天気図の知識や製図の知識、またキャンプで使うロープワークがまさかこんなところで役に立つとは思っても見なかった。正直な話、試験自体は講習など受けなくても本屋で教則本を買い丸暗記で受かるだろう。しかし、私はできればとこでもよい、こういった講習会で学ぶことをおすすめしたい。
残念ながらこの講習でもボートにトイレは必要かどうか。問いかけてみたが明確な答えはなかったが。
海に出るとわかるが、大変心細いものだ。海は大きくそして広い。そのわりには船は小さくまるで木の葉のようだ。私の船は実長で約7メートルあるが海に浮かべると本当に頼りなくふわふわとしている。陸から離れるときの心細さといったらなかなかそれを言い表せる上手い単語がみつからない。
実生活にまったく馴染みのない浮標や形象物、海図などの見方だけでもプロに一度は手解きを受けていた方がよい。皆さんも、もし、船舶免許を取る場合は一度は講習を受けてみてください。
まず南の海上で暖められた低気圧と言われる空気の塊ができる。この低気圧は一般的に暖かくて軽いのでエネルギーを均衡させる自然の力のためにどんどん北へと移動しようとする。ところが日本近海にはエベレストにぶつかって大きく西へ流れる「偏西風」という風が吹いているためやや西寄りの進路をとることが普通だ。
暖かい空気は上に上がりたがるため低気圧には上昇気流が発生している。その上昇気流は地球の自転の影響で反時計回りに回りだす。
やがて低気圧は冷たい空気(一般的には高気圧)とぶつかる。高気圧には二種類あり、大陸で冷やされた空気と吹きおろしにより圧縮された空気とに分類される。
冷やされた空気は重いため低気圧の下に潜り込もうとする。その時気圧の著しい変化がある部分が二か所できる。これを気圧の谷といい前線と呼ばれる。日本近海では一般に東側に温暖前線、西側に寒冷前線が現れる。特に西側にできる寒冷前線は曲者で暖かい空気に冷たい空気が潜り込もうとするため急激に気温の変化が起き、積乱雲のような大きな雲ができる。この下に大雨や大雪をもたらし被害も大きい。また、偏西風の影響により気候の変化は必ず西から東に移動する。つまり、関西で雨が降っている場合数日後には関東で雨が降る可能性が高いということだ。この寒冷前線に北からの猛烈な寒気が入り込むのが木枯らしという現象。寒気と暖気が均衡して前線が動くことができなくなる現象がいわゆる梅雨ということになる。
気候の変化は西から現れる。これは大変重要で覚えて置いたら何かと役に立ちます。外に出たときに西の空をちょっと見る癖をつけておくとあなたも今日からキャプテンだ!!
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