第2話 抽選

 取り急ぎ申し込みはすんだものの一体なにをどうやっていいのかわからない。役場の人に聞いてみたところ問い合わせは10数件。実際に申し込みに来ているのは4人ということだった。それ以上人が増えないことを祈りながら申し込みを済ませた。


 申し込みの2週間後が抽選日となっている。水曜日。わたし、すかっり忘れていまして携帯のアラームで抽選日を思い出した。水曜日は朝から晩までがっつり仕事が入っている。これはこまった。ということで家内にうそをついてたのむことにした。


「えみちゃん、あのね。」

「なんね?」

「実はボートの係留所の申し込みをしたんよ。」

「はあ。」

「でね。その抽選が明日なんよ。でね。明日はね。俺、仕事ががっつり入っていていけんの。えらいやろ。」

「は?」

「いや、仕事してえらいやろって。」

「は。そんなの当たり前やん。」

「いや、あのね。それでね。あの、あのね。抽選におれの代わりで行ってほしいんよ。お願い。たのむ。」

「えええええ。なんでよ。いきたくない」

「わかるよ。わかる。どうせ、確率も高いけん。あたらんちゃ。でもさ、申し込みしたんやけ。おねがいのお願い。」

「もう。あんた、ばかやけすかん。昔からすかん。」

「おねがいします。」

「いや。」

「お願い。たのむう~。」

「いや、いや。ぜったいいや。」


 と頼み込んで家内に行ってもらうことに。


 抽選が始まる時間。僕は大工仕事をしていた。足場に上っていた時に携帯がぶるぶると鳴った。

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