釣り好きの俺が思い付きでプレジャーボートを買ってみたら地獄が待っていた。

@tokunagakei

第1話 プロローグ

 とある事情で船を買うようになりました。いざ買おうとなっておどろいたことは、ほとんど情報がないということでした。私はたまたま知り合いに船を所有している人が複数人いたためその方たちの力添えを得ることができましたがそれ以外の情報は全くと言っていいほどありませんでした。


 そこで、今後、もし船を買おうという方の(そんな奇特な方がいるかどうかはともかく)忘備のため船を買うまでの経緯と言うか、必要な知識や情報を書いておこうと思います。


 とある朝。


 ふと、ネットの市政だよりのようなサイトを読んでいたらそのサイトの片隅の「プレジャーボート係留所抽選のお知らせ」という文字が目についた。ほほう。どうやら公共のボート係留施設に空きが出たらしい。めったにないことだ。知り合いに聞いてみたところ


「いやあ、公共の係留施設はまずあたらんよ。倍率も高いしね。だけん、川とかに違法係留の船があふれとるやろ。あたらん、あたらん。」


 なるほどねえ。そんなもんか。


 そう言われても聞いたからには申し込むのが男の性。断るのが女の長崎。ということでその日のうちに役場に申込に行くことにした。


「はいはい。あ、ボートの係留の抽選申込ですね。じゃ、ここのところに住所とハンコと。あ、それから、ご自分の船の登録番号と船名を記入してください。」

「いえ、私、船持ってませんが。」

「は?」

「船、持ってないんです。」

「え?ああ、そうですか。じゃあ、とりあえずこの用紙を持って帰ってもらってですね。どこか、船を売っているところから係留条件にあう船をピックアップしてもらって、この船を購入予定という形にして再度来ていただけますか。購入する船の形状が分かるカタログをもらってきてください。」

「はい、わかりました。」


 ということで、またその足でヤマハマリーナに行くことした。ヤマハのマリーナでいろいろ説明して係留条件にあう船をピックアップしてもらいいろいろ説明を受ける。


 一般的なプレジャーボートはおおよそ20フィートから26フィート程度なのだそうだ。それ以上大きくなると一人での取り回しがむずかしい。それ以下だと少し波が強くなると怖いらしい。なるほどねえ。外に出て船をいろいろ見せてもらいながら説明を受けた。


「この船だと24フィートですね。人気のある形です。」

「ははあ。おいくら万円ぐらいするんですか?」

「新艇だと700万ぐらいですね。あとは装備をどうするかで価格は変わります。」

「700万!!(うそーん)」


 さすが営業マン。私の顔の陰りを見逃さなかった。


「こちらの船は同じくらいの仕様で中古ですが220万ですね。魚探もついてます。すぐ乗れますよ。」


「どうせ買うなら、きちんと目的を決めてから買った方がいいですね。単純にレジャーで使うのか、釣り専用なのか。ウエイクボードとかしますか?」

「うえいく?なんですか、それは?しませんよそんなもの。釣り専用ですね。家内は死んでも乗らないでしょうから。」

「お子さんは?」

「まあ、のらんでしょうなあ。」

「そうですか。それならいわゆるプレジャーボートより釣り場の広いキャビンのないタイプがいいでしょうね。この船なら4~5人はゆっくり釣りができます。キャビンがあるものは3人が限界ですね。23~5フィートだと。」

「キャビンがない船の場合うんこはどうするんですか?」

「はははは。男同志や一人ならなんとでもなりますよ。みんな海で尻出してやってます。どうしても女性が乗る場合は港から20分とか10分で帰れる近場で釣るんです。そうすればあまり問題はおきませんよ。で、てきとうな時間で定期的に港にもどってるようですよ。みなさん。」

「なるほどねえ。」


 ということで、船のカタログをもらい再度役場へ提出へ。提出期限ぎりぎりでなんとか受け付けてもらい、いざ、抽選。です。

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