第7話~気付き

~ハンターズ基地、第三研究塔~


コンはメガネと共にPCを見ていた。


「…この波長は間違いない、奴の一部はセルリアンの可能性が出て来た」


コンは画面内の結果をまじまじと見つめる


「コン彼はもしかしたら“再現”が使えるのかも…フレンズであり、セルリアン…セーバルの用な事例もあるし…」


メガネは眼鏡をクイッとあげて言う


「尚更危険だ、セーバルは一度女王に操られてる、その事を考慮すると奴もセルハーモニーか何かで暴走する恐れもある、今はフレンズの面が出ているが、いつセルリアンの面が出るか解らん…」


メガネは黙ったままうつむく


「…メガネ、奴の監視を続けろ、奴をこの部隊に入れた本当の意味を忘れるなよ」

「解ってるよ、力の研究、そして制御だよ」

「ああ、そうだ…奴を頼む…」 


コンはそう言うと研究室を後にした。

その後少しメガネはPCの画面を変えてその結果を自分のメモ帳に書いた。


「彼はもしかしたら、セルリアンとフレンズを繋ぐ使者メッセンジャーになるかも…っと」


するとメガネの携帯が鳴る。


「ん?胡蝶君か…もしもし?」

「メガネさん…助けて…」


電話からは今にも死にそうな胡蝶の声が


「へ?」

「もう…全然解らない…うぅ…バタッ…」


ツーツーツーツー


「又、英語の課題か…」


メガネは早足に寮の談話室に向かった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

~ハンターズ寮、コンの自室~


コンがPCで調べ物をしているとコンコン、と扉をノックする音が聞こえた。


「はいはい…」


コンは車の鍵のようなもので扉を開錠した、

扉の先に立っていたのはコヨーテだった。


「おう、コヨーテか」

「やあ、コン、お邪魔するよ」


コンはコヨーテを椅子に座らせた、

するとコヨーテは一枚のメモを差し出す。


「なんだこれ?」

「彼、ナナシの部屋にあった物だ」

「…再現の有効利用…か」

「でも彼、見た所まだ自分の能力に気付いてないみたいなんだ」

「…成る程、ならしばらくはそのままで良い下手に知ると危険だ、それに何か外部から干渉を受けるとだいぶ不味い事になる…」

「コンらしい考え方、まあ、私は大賛成だけどね」


コヨーテは立ち上がると一枚の写真立てを見つける。


「これ…懐かしいね…」

「あ?…ああ、復興記念の奴か…」


そこにはミライやサーバル、カコ博士やコン、コヨーテ、メガネの面々、そして他のパークスタッフなどが大勢写っていた。


「まだ君が私と同じ階級の時だ…ねぇ?隊長さんっ?」

「やめろ、馬鹿にするな…」

「フフフ…君のそう言うとこ好きだよ?」

「はぁ、あんまりふざけるな…」 


コンは椅子から立ち上がりコヨーテに冷蔵庫の中にあったソーダを差し出す。


「ジャパリソーダ?」

「そうだ」

「ダジャレ?」

「違う…」


そんな下らない会話をしていたときだった。

バタン!と急にドアが開きメガネが息を切らしながら部屋に入って来た。


「どうした?」

「はぁ…はぁ…コン…ナナシが…はぁ…」

「ナナシがどうしたんだ!?」


コヨーテも心配そうに聞く。


「意識不明だ…はぁ…はぁ…」

「何だって!?今奴の場所は?」

「医療室…」

「チッ!コヨーテ行くぞ!」

「解った!行くぞ!メガネ!」


コヨーテはメガネを抱えて医療室へ向かった


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数分前、第2研究塔セルリアン形態研究室


ナナシは寮に戻り、荷解きをした後、何故か気が付いたらここに来ていた。


「ここは…研究室?」


ナナシは辺りを見渡す、すると机の上でキラキラと黒く輝く物体を見つけた。


「何だろう…これ…」


ナナシの足は自然とその黒い物体に近付く


「綺麗だ…」


ナナシは黒い物体に手を伸ばす、そして触れると電気が走るように鋭い痛みが一度体を支配する。


「ぐぁっ!うぁぁぁ!」


そして意識を失ってしまった。


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~声~

「君は何故、争いが起きると思う?」

「…?」


ナナシは真っ暗闇の空間で響く奇妙な声に唐突に質問をされて少し戸惑うが質問に答える


「沢山の思想、信仰、そして種族がいるから」

「…そうだこのジャパリパークにはどんな種族がいるか解るか?」

「…ヒト、フレンズ、そしてセルリアン…」

「そうだ…」


すると徐々に暗闇は明るくなってゆく。


「私はそのうちのセルリアンだ」

「っ!?」


ナナシは腰に手を回しナイフを抜こうとするがナイフは腰についていなかった。


「落ち着け…君は我々セルリアンの“再現”を利用したいと考えているな?」


ナナシは頷く。


「力が欲しいか?」


力があれば守れる者も増える…ナナシは頷く


「君は平和を望むか?」


平和、争いよりか10倍ましだ…頷く


「真の平和を実現するなら、ヒト、フレンズ、セルリアン…これらの種族を1つに縮める事が必要だ…同一種族なら争う必要が無い…」


ナナシはその言葉に魅了されるように頷く


「その種族をまとめるために私はどうすれば?」

「…“再現”をするのだ、まずはフレンズを二人ほど喰らえ…」


ナナシが今、正常な状態なら断っただろう、しかし、彼は今、何がおかしいのだ。


「はい…解りました…」

「…お前に力の振るい片を教える…」

「その前に、貴方の名前は?」


その黒いセルリアンは少し考え、言う。


「女王だ、さぁ…ナナシよ…力を貯め、私と共に永遠の平和を保とう…」


ナナシはニヤッとして頷いて、女王の手を取る…


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医療室 病室


「ナナシ…」


胡蝶は心配そうにナナシを見つめる。


「問題ない、気絶してるだけだ、それにしてもコイツ、まさか女王のサンプルを触るとはな…しかも覚醒状態のサンプルだ…よく、気絶だけですんだもんだ…」


コンはナナシの診断結果とかが書かれた書類を胡蝶に渡す。


「…じき、起きるという事ですか…」

「ああ、それまでにセルリアンが来ないと良いが…」


病室は不安感に包まれる

そんな時にコンのスマホがなる。


「失礼…はい、また帽子の男ですか?あー今、回せる人員はいません…すいません、はい、よろしくお願いします…」

「また?」


メガネがコンの方を向いて不安そうな顔で言う。


「ああ、都市伝説みたいなもんに、俺達は振り回せれてるって訳だ…」

「その、帽子の男って言うのは…?」


胡蝶は不思議そうに聞く。


「…残念だが、お前には話せない、クリアランスが足りないからな…」


コンは残念そうに言う。


「さて、皆、もうこの部屋から出て、ナナシは少し休ませないと…」


メガネは皆を立たせ、ドアの外に追いやる。


「お前は?」

「僕も出るよ」


メガネは部屋から出て病室のドアを閉めた。


「よし、とりあえず夕飯だ、今日は食堂に行くぞ」


コンは皆を連れて、食堂に向かった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

その日の深夜…


ナナシは目覚めると病室のベットから立ち上がり、再び、誘われるがまま、研究塔へ向かった。


「ちょっと君!ここから先は!」


研究員がナナシを呼び止めるとナナシは研究員に襲いかかり、気絶させた。

そして、保管庫に入る。

棚の奥の方に進み、手に取ったビンのラベルに書かれていた文字は…


     «サンドスターロウ»


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

~後書き~


更新が遅れてすいません!!m(_ _)m

さて、ナナシ、女王にそそのかされてしまいました…

次回はナナシテストさんが担当です…

どうなってしまうのか…







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