この物語のタイトル、変わった夢を見……ているのはどちらだろうか? aパートの女の子か? それとも、bパートの男の子か? 本当の夢は? 虚構の今は?
それが、気になると、一話だけではやめられなくなる。
ふたりが、『夢』と呼ぶ世界は、毎回、変わらない風景と、少しずつ変わる情景からできあがっていくようだ。
それは、美しくもあり、哀しくもある。
女の子は、目に映るものを言葉に表し続けるが、最後まで綴られることがない。黒く塗り潰されていく。男の子は、その綴られた言葉に興味を抱くうち、別の想いも芽生えていく。
ただ、そこに、接点がないのだ。夢の世界であっても、同じ空間に存在できないのだ。
それでも、物語が続いていくことが不思議でさえある。わたしは、不覚にも、それがおもしろいと思った。
わたしが書いた、このレビューだって抽象的だと思われるかもしれない。でも、そういう物語なのだ。
ふわふわと不安げに漂うようなファンタジーも、また、素敵だと思った。