第8話 b=4
またいつの間にか彼女の事を考えていた。ダメだ、授業中だというのに。今や、歩く彼女の揺れる髪も、砂に埋もれる爪先も、座ったときの足の組み方も。全て思い出せてしまう。今までこんな事なかったのに。
頭から彼女を追い出すために、無駄に周りを観察する。必死にノートをとるやつ。塾の問題集を広げてるやつ。僕の隣のやつは相変わらず休みだ。ここ最近ずっと休んでいる。まあ、元々変なやつだったが。
教壇に立つ先生は、何やら一生懸命に喋っている。そんな簡単な内容、こんなに熱をいれて説明しなくてもいいと思うのに。聞いていて馬鹿馬鹿しくなった。
僕らのクラスは決して仲が悪い訳ではなかった。ただ仲良しごっこをしなかっただけだ。僕らはここに来た時点である程度の決まったレールが敷かれている。周りからの期待。自分のプライド。それらに逆らわない為にも、僕らは”仲間”を見捨てていく必要があるのだ。これは馬鹿同士の維持の張り合いだった。
だから、僕はこんな夢の事なんて気にしている場合ではないのだ。頭ではわかっている。なのに、何かが引っかかるのだ。また同じ夢が見られるかなんて分からないのに。
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