第7話 a=4
私は何のためにこの世界に来たのか。もはや忘れてしまった目的。何かを生み出す為?違う。私にそんな事が出来るとは思えないし、そんな夢を見るような歳でもない。じゃあ一体何故?答えは分からないし、知りたくもなかった。ただ、この世界の外には嫌なことがある。それだけは分かっていた。
最近、この世界も少しづつ居心地が悪くなってきた。壊れかけのテレビの画面に時々横線が走るような。何、とはっきりした原因がある訳ではない。ただ、どこかでプレッシャーのような、誰かの視線のような、そんなものを感じるのだ。振り返っても誰もいるはずがないのに。
「自由は創作を妨げる」というのをどこかで聞いた。創作をしなくても幸せでいられるような自由なら、むしろ欲しいと思った。こんな自由な世界に来てまで、私は文字を綴らないと生きていけないのに。
何に対してかも分からない、焦りと恐怖が筆を止める。やめて。私はまだここにいたい。すがるようにペンを握るが、思うように動いてくれない。なんで。どうして。ああ神様、私の手から創作を奪うのなら、代わりに幸せを下さい。
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