第6話 特訓?

大会1日前、、、。

「今日もよろしくお願いします!篠宮先生!」

最後の篠宮先生との特訓は俺とアンリ、鬼龍院さんも混ぜて1vs3で攻守が機能するかの調整をする。

「今日は私も異能力を使わせてもらうぞ、佐藤。よし、お前ら準備はいいな?いくぞ!」

篠宮先生は持っていた竹刀を刀に変えて合図してきた。

「はい!よろしくお願いします。」

俺たちの作戦はシンプルだ。俺が刀で前線をはり、アンリは俺や鬼龍院さんの回復役と俺のサポート、そして俺やアンリが時間を稼いでいる間に鬼龍院さんの異能力で雷エネルギーを可能な限り蓄積して放出し、強力な雷撃で一撃必殺を狙うという作戦だ。この作戦は俺がどれだけ耐えられるかにかかっている。

 この一ヶ月、俺は来る日もくる日も篠宮先生との特訓で微力ながら篠宮先生の動きを真似できるぐらいにはなったし、午後からも一人で特訓した。だから少しばかり自信もあった。今日は篠宮先生を倒せるだろう。なにせ3対1なのだから。


何分ほど俺と篠宮先生の1対1が続いていた。

「ほらほら、どうした、佐藤。そんなんじゃ一回戦負けだぞ!」

くそ、強い。一人ではどうしようもない。

だが、3人いれば話は変わる。

「うぉぉっ!!」

俺は篠宮先生に斬りかかった。これは受けられた、がここまでは読んでいた。

「アンリ!いまだ!」

「はい!わかったのですよ!リセット!!」

俺がアンリに合図すると、アンリは俺と篠宮先生に触れて異能力を使った。すると、俺と篠宮先生は互いに背を向けた状態で、現在位置から数歩先の位置に移動した。俺はこうなることをわかっていたが、篠宮先生は何が起きたかわからないといった感じに混乱していた。アンリの能力で過程をなかったことにした。言い換えれば飛ばしたのだ。剣と剣で受け合いしている状態の過程をなくしたら、通過したにすぎないことになるのらしい。午後の特訓の時にアンリとも何か大技ができないかを相談した結果これに行き着いた。この技はアンリが俺と敵両方に触る必要があるので、敵が俺だけに注意を向けていて、なおかつ接近している時にしかできない。だから俺が倒されたらチェックメイトなのだ。

「!?」

篠宮先生は混乱している。

「うおぉ!」

俺にはこうなることがわかっていたから、ふりむきながら篠宮先生を斬りつけた。この距離ならもう刀では防ぎきれない!

キィィィンッ!

「な、なんだって!?」

篠宮先生が消えたかと思うと、俺は斬りつけられていた。

篠宮先生は持っていた刀を2本の短刀に変化していた。それで俺の刀を弾き、懐に潜り込み、片方で俺を斬りつけていた。しかし、速すぎる。篠宮先生は本気をだしていなかったのだろうか。

「びびらせやがって、何したんだよ!」

「ま、まだだ!」

俺の刀は弾かれていたので、俺は篠宮先生にしがみついて拘束した。もう十分に時間は稼いでいる。

「鬼龍院!いまだ!」

「!?、そんなことしたら、佐藤さんにも、、、。」

「いいから!」

「はぁぁぁ!!」

鬼龍院さんは少し躊躇したが溜めた雷撃を一気に放った。すると、空を真っ二つに裂くが如くの雷鳴がなり。雷撃がものすごい勢いできた。

よし、かった!

キィィィン!

しかし、次の瞬間、ものすごい音とともに雷撃は逸れた。

「危ねぇなぁ!本気出しちまったじゃねぇか!」

「どうして!?なんで刀なんかで雷撃を弾くなんてできるわけ、、、。」

「私の能力は握ったものをあらゆる刃物に変えることだ。雷を切る刀にだって変えられる。」

それでも、常人にあの威力の雷撃を弾くことなんてできやしないし、雷撃より早く動かなきゃあんなことできない。篠宮先生を久々に怖く感じた。

「降参です、、、。勝てません、、、。」

「それはいいが、お前また自分を犠牲にしてでもって考えてたなぁ〜?」

ゾワっとした。ヤバイ。

「あの状況なら、、、すみませんでした。」

「?、今回は言い訳しないんだなぁ?」

あの状況を招いたのは俺だ。俺が潰れたら、アンリが危険になると思ったらああしていたが、相手が篠宮先生ではなかったらいまごろどうなっていたか、、、。

「試合の時はタイミング見てアンリの異能力を使え、あれは私もあぶなかった。」

「!?。怒らないんですか?」

「自分で何がいけないかを考えてる奴に説教する必要あるか?」

やはり篠宮先生はいい先生だ。

「ありがとうございます!」

俺たちは最後の練習を終えた。

しかし、鬼龍院さんだけは深刻な表情をしていたのを篠宮先生は横目でみていた。


その後俺とアンリがいなくなったのを見計らって、篠宮先生は鬼龍院さんに話しかけていた。

「鬼龍院、やっぱ、家でなにかあるのか?」

「鬼龍院家でないあなたにはかんけいありません!!私にはもっと力が必要なのです!」

鬼龍院は逃げるようにして帰った。

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