第5話 候補?
大会まで残り2週間を切ったある日のこと、、、。
昼休み、俺とアンリは食堂の机を挟んでメンバー候補会議を開いていた。
「どうしよう、、、。あと少しで大会が始まっちまうのにメンバーすらまともにきまってねぇ。このままじゃ、大会に出ることすらままならない。誰か候補になる人はいなかったか、アンリ?」
アンリは待ってましたと言わんばかりに、身を乗り出し、口を開いた。
「一年のdクラスの子は出ても構わないらしいのですよ!異能力はシールドを出すことらしいのですよ!図書室で知り合ったのですよ!」
俺はため息を吐いた。
「それはありがたい申し出なんだけれどそれじゃ一回戦負けなんだよ、アンリ。
情報を整理しよう、アンリは異能力で今できることと言えば回数制限付きの回復だけだな?それに加えて能力の発動の仕方すらあやふやな俺にできることと言えば篠宮先生に教えてもらっている剣だけなんだが一ヶ月しかないからできても盾役だろう。だから決定的に火力が足りないんだよ。だから、欲を言えば火力になり得る異能力の持ち主にきてほしいんだが、、、。」
そう、いくら出れたとしてもボコボコで一回戦負けなんてことになったら手掛かりなんてつかめっこないだろう。勝ちに行かないとだめなんだ。
「そんなぁー。いい子なのですよ!じゃあじゃあ!誰も候補いなかったらたのんでもいいのですね?」
俺が頷くとアンリは飛び跳ねて喜んだ。
そんな話をしていると横から声をかけられた。
「私をあなた方のメンバーにいれてくださいませんか?」
見ると、アンリよりも小さな愛らしい子がたっていた。空色の髪の毛が綺麗で、背筋が伸びていて立ち姿が綺麗だ。
飛び跳ねていたアンリは静かに座った。知らない人に見られているとわかり恥ずかしくなったのだろうか。
「さっきの話をきいていたのか?それなら話が早い、詰まるところ聞くがあんたの異能力はなんだ?それで話が変わるからな。」
俺がそういうと静かにしていたアンリが耳打ちしてきた。
「もう少し行儀良く話さないとだめなのですよ、この子はお嬢様なのですよ!」
そう言ったのも束の間で彼女はスカートの裾を両手でつまんで、軽く持ち上げお辞儀してきた。
「私は鬼龍院家の娘、鬼龍院 シイラと申します。異能力は代々雷系統の能力を開花しておりまして、私は体のエネルギーを雷に変換し、蓄積して溜めて、放出することができます。あなた方が欲している人員にぴったりだとおもいます。」
アンリが今にも首を縦に振ろうとしていたのでチョップしといた。
「またぁ!またいじわるするのですよ!?」
無視無視。
「なぜ大会にでたいんだ?それになぜ俺たちなんだ?その能力なら他を当たればいいだろうに。」
鬼龍院の愛らしい顔が曇った。やはりなにかあるのだろうか。
「私は、私はこの大会で結果を出さないといけないのです。あなた方は先週の件で色々目立っているでしょう、言い方は悪いのですがあなた方は丁度よいのです。それに、私の周りは私がお嬢様だからといって、私がそのような大会に出ようものなら逆に止めに入るでしょうし、、、。」
なるほど。これはいい。
「よしわかった。鬼龍院さんだっけ?これからよろしく頼むよ。」
鬼龍院は頭の上にハテナが出てきそうなほど不思議な顔をした。
「私がいうのもなんですが、メンバーにいれてもよいのですか?あなた方を利用するといっているようなものなのですよ?」
「そこがいいんだろ。俺の問いになんの変哲もない答えなら俺たち、特に俺を冷やかしに冗談半分だろうと思ってこの誘いを遠慮してたけれど、君にも君なりの目的があるのがわかったからokだよ。味方を信じれないのはこまるんでね。お互い利用し合う仲が一番安心だ。」
そういうと鬼龍院もっと不思議な顔をしたあと、フフフッと笑ってよろしくお願いいたします。と言ってきた。うむぅ、変なこと言っただろうか。
「清十郎くんは今みたいに変なことも言うけれど、意地悪もするのだけれど、だけど、頼りになるのですよ!私が保証するのですよ!これからシイラちゃんもわかる時がくるのですよ!」
そう言ってアンリは誇らしげに胸をはった。
そうこう話しているうちにアンリと鬼龍院は打ち解けていった。
アンリはいろんな人とすぐに打ち解ける才能があるな。
これでメンバーも揃った。あとは大会まで剣を頑張って付け焼き刃をどれくらい鍛えられるかが勝負の分かれ目だな。
それと、了承はしたが鬼龍院の顔が曇ったのも引っかかるが、今は大会に専念しよう。
「これからよろしくな!2人とも!」
俺が2人にそういうと
2人ともよろしくと返事を返してくれた。
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