第4話 策略?
大会出場決行の数時間前、、、。
「兄貴!よかった!意識が戻ったんすね!丸一日目を開けないから、もうずっと起きないのかと心配してたんすよ!」
目を開けると下っ端どもが不安そうに俺を囲んでいた。ここは、いつもアジトにしている学校近くの工場跡の倉庫のなかだろう。
「う、、、。」
体を起こそうとしたが、軋むように痛い、見ると、俺の体は包帯でぐるぐるまきにされて、ソファに横にされていた。
なにがあったのか。確か俺は一年に使えそうな能力の女をみつけて、、、。そうこうしているうちに、あの無能がとびこんできて、あいつに異能力を発動したのだ。なのになぜ、、、。そうだ!あいつは無能だ。それなのに、あいつは俺と同種の炎系能力で俺の能力を上回って、、、。そこからの意識はなかった。
「あのあとどうしたんだ!」
俺が尋ねると、下っ端どもの1人が怯えながらに説明してきた。
「兄貴はあの無能の能力に吹っ飛ばされて、意識を失ったんです。そのあとは、俺たちだけではどうにもならないと思い、兄貴をここに運んだんです。くそ、あの無能っ!あんだけ無能力だって世間体では言っておきながら、あんな能力を隠していたなんて!」
クソ、やはり俺はあんな無能如きに負けたのか、、、。憎い、憎い、憎い、憎い、憎い!。殺したい程に憎かった。しかし、負けたのも事実だ。今の俺では奴に勝てるかどうか怪しい。どうしたものか。
?「おやおや、やっと起きましたか。」
物陰から声が聞こえた。誰だ?俺様に向かってそんな口を叩くのは。
「誰だ!俺は今イラついてんだ!容赦しねぇぞ!」
俺は炎の球を乱発した。
「あ、ああ、兄貴!ここを燃やすつもりですか!?」
下っ端どもが慌てふためいたが、俺には眼中になかった。誰か知らないがいいきみだ、焼け死ね。ところが、炎が到達し、あたりに炎が広がっても誰も出てきやしない。
「まったく、ひどいことしますねぇ。」
うしろ!?俺が横になっているソファのうしろに声の主はいた。瞬間移動の異能力でも持っているのか?
「誰だお前は!!なにしにきやがった!!」
俺がそういうと、両の手を上げ明かりの下にでてきた。男だ。若いが白髪、それにドス黒いコートを見に纏っていた。表情には余裕が現れていた。そのせいか、なにかオーラのようなものを感じる。しかし、丸腰だ。余程、異能力に自信があるのだろうか。
「そうですねぇ、私達は以前から彼に興味がありましてねぇ。ほらぁ、昔、テレビに彼が引っ張りだこでしたでしょう?そこでここ数年、彼を監視していたわけなのです。しかし、貴方のおかげで彼が能力に目覚めたかもしれませんのでね。お礼を言いにきました。しかし、貴方、曲がりなりにもボスたるものなのに、無様ですねぇw」
俺は腹がにえたぎった。
「だまれ!消えろ!クソ!あいつさえいなければ、、、!!」
俺がそういうとコイツは不敵に笑った。
「あいつさえいなければ、、、ですか。それなら、その”あいつ”を殺せるようなチカラを貴方に与えてあげましょうか?貴方は今そのようなチカラがほしいのでしょう?」
何か策があるのだろうか。俺はすごく興味が湧いた。
「なにがいいたい、、、。?」
コイツは胸ポケットから小さくて透明な袋を出した。中には小さな黒い粒が数粒入っていた。そこから奴は一粒取り出した。
「これを飲めば今よりも数段上のチカラをてにいれることができます。適性が無ければ死ぬだけですが、、、。それが嫌なら飲まなくてもいい。しかし、貴方はそんな臆病者ではないでしょう?」
「?、お前はあの無能で何か企んでるんだろう?なのに、なぜあいつを殺したい俺にチカラを貸すような真似をするんだ?」
コイツは愉しそうに笑った。
「あの坊やを監視するというのは私の意思ではないのでねぇ、あの坊やがどうなろうとしったことではありませんねぇ。私はねぇ、愉悦を禁じ得ないほどのエンターテインメントを追い求めてるのですよ。そうですねぇ、あえていうとすれば、えぇ、単なる暇つぶしですかねぇ。愉しければなんでもいい。」
意味はわからなかったが、本心で言っているということはわかった。狂っているということも。
俺は受け取ってしまった。しかし、これを飲めば、無能野郎、あのクソやろうに勝てる。そう思うと、飲まないという選択肢は消えた。
「俺を馬鹿にする奴はどんな奴でもねじ伏せて殺してやるっ!!」
俺は、この黒い粒をのみこんだ。
「う、うぐ、胸が、、、!?」
飲むと途端に身体中が灼熱の中にいるかの如く熱く煮えたぎり、肺が、血管が、心臓が、はち切れるかと思うほどに、苦しい。
「飲んじゃいましたかぁw今、体の中では細胞を殺した瞬間に新しい強化された細胞を作り出す工程が瞬時にくりかえされているのです。そうですね。あと数分もすれば全細胞が入れ替わるでしょう。それまでに死ねば、貴方には合わなかった。ということになりますねぇ。」
あの無能を殺す。それで頭がいっぱいだった。
この痛みも全てあいつのせいだ。殺す。殺したい。殺してやるっ!
数分後、俺は薬の効果に勝った。
「成功したようですねぇ。それではこの辺でおいとまさせていただきます。せいぜい私を愉しませてくださいねぇ。」
そういうと突然姿が見えなくなった。やはり瞬間移動のような能力なのだろうか。
しかし、体が嘘のように軽い、今まで体が悲鳴を上げて俺の言うことを聞かなかったのに今は逆に力が底なしのように湧き出てくる。
俺は試しに異能力を発動しようと、いつも通り手に炎を纏った。
ッ!?
「これならあの無能野郎を殺せるっ!!」
「すごいっす!兄貴!そういえば!
無能といえばあいつマグレで兄貴に勝ったからって調子に乗って異能力の大会に出場するらしいですよ。馬鹿ですよねぇw」
思い出したかのように下っ端の1人がそう言った。ちょうどいいそこで大衆の前で処刑してやる。
「おい、それに俺もでる。仲間を集めてこい。」
首を洗って待ってろよ、無能野郎。
一方、黒い粒を渡した白髪の男は連絡をとっていた。
「はい。試作品のあの薬の件ですが、丁度いい実験台がいたので投与したところ成功しました。このままいくと、あの無能力の坊やともう一度戦わせることができますよ。そこで新たにデータが取れるとおもいます。」
そういうと、暗闇に紛れて姿を晦ました。
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